銀座の神社の多くが社縁や商縁を基盤とする点は興味深い。成功稲荷は普段は資生堂のビルの屋上に祀られており、銀座八丁神社めぐりの時だけ一般公開される企業神だ。石井の推測によれば、成功稲荷は1927年に奉安されているが、きっかけは同年3月から発生した金融恐慌による業績悪化ではないかという。

そして、現在ギンザシックスの屋上にあるかく護(かくご)稲荷が、旧松坂屋銀座店の屋上に祀られたのも1929年だ。由緒によれば、1815年、松坂屋を創業した伊藤家が伏見稲荷を現在の荒川区東日暮里に勧請(かんじょう)した。松坂屋屋上の祠は、ここからさらに分祀されたものだ。当時、松坂屋は何度か火事にあっており、そのためかかく護稲荷は火伏せの神とされる。そして、松坂屋銀座店がギンザシックスとなった後も、かく護稲荷は引き継がれたのである。

銀座の神々は今も増え続けている。6丁目を歩けば、「銀座恋神社」の立て看板が目に入る。少子高齢化・核家族化・恋愛離れを憂慮して、千葉市花見川区の検見川神社を勧請してイザナミを祀ったものだ。神社はビル内にあり、極小の境内には検見川神社の神水が流れる水琴窟も設けられている。神社のすぐ横には、同社を管理する「恋愛カフェ」の扉がある。

(左)ギンザシックス屋上のかく護神社(右)銀座恋神社の立て看板(画像/著者提供)