――『モノクル』の「世界で最も住みやすい都市ベスト25」において、福岡市が上位をキープしている理由をどのように分析しているか。

【倉富】福岡市の1番の特徴は、なんといっても街がコンパクトなところ。地理的に山も海も近いため、狭い平野部にいろんなものが集約されています。空港も港も都心のすぐそばにあり、狭い区画の中に行政施設から商業施設まであらゆるものが密集していて、何をするにも自転車の移動で足りるという利便性がある。住宅地も都心部から近く、「通勤に30分もかかるようなら遠い」と言われるほど職場と家が近い。これが働きやすさにも繋がっています。

加えて最近は、高島宗一郎・福岡市長が、福岡をアジアのリーダー都市にしようということで、創業支援を通じた起業家育成にも力を入れています。そうしたことが相まって、レベルアップしてきたかなと思っています。

――西鉄は、戦前から天神の街づくりを担ってきたが、どのような考え方で天神の街づくりを行ってきたのか。

【倉富】もともと天神が栄えたのは、岩田屋さんがこの地に百貨店を開業されてから。そこに新天町という商店街ができ、さらに私たちの西鉄名店街ができ……というふうに昔からみんなで一緒になってつくってきた街なんです。

みんなで街をつくるという精神はいま「We Love 天神協議会」というエリアマネジメント活動に受け継がれ、各事業者、地域住民、そして行政と連携して、一緒に議論しながらやっています。その中で当社は鉄道、バスという公共交通の分野で街の発展を支えることをミッションとしてやってきたわけです。福岡がコンパクトな街と言われるのも、交通ネットワークの密度、充実度と深く関わっていると思います。特にバスはバリアフリーな交通機関で、乗り方さえわかればこんな便利な乗り物はない。当社がバス路線網を全国1の規模にまで拡充させてきたことが、福岡のコンパクトシティ化に貢献できたのではないでしょうか。

▼西鉄グループは天神の街づくりの中心的役割を担う

(A)2009年、天神明治通りビルを取得。15年、コワーキングスペース「天神COLOR」開設
(B)2010年、オフィスビル、西鉄天神ビルを取得
(C)2012年、商業ビル、ソラリアプラザに「TOHOシネマズ天神・ソラリア館」オープン
(D)2013~15年、商業ビル、ソラリアプラザリニューアル。16年、同ビル7階をリニューアル
(E)2016年、商業ビル、天神コアをリニューアル
(F)2016年、オフィスビル「天神CLASS」オープン
(G)2016年、商業ビル、ソラリアステージ地下2階(飲食店街)をリニューアル
(H)2016年、オフィスビル・ホテルの毎日福岡会館を取得
(I)2016年、水上公園と一体となったレストラン施設「SHIP'S GARDEN」オープン
(J)福岡ビル(西鉄本社)