政党の選択は福袋と同じ! 公約を一つ一つ吟味したら投票先は決まらない

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公約の中身を細かく吟味すればするほど、どの政党がいいのか分からなくなる。政策や制度なんて無限にある。自民党と希望の党の公約を見ても、政策や制度がずらーっと並んでいる。同じもの多い。そして、その一つ一つに賛成できるものは○、反対のものには×を付けていくと、自民党の公約にも希望の党の公約にも○×が混在するだろう。

公明党、維新の会、共産党、立憲民主党の公約も○×が混在するはず。もちろん○の数には違いがあるだろうけど、僕が大嫌いな共産党の公約にも○は必ずあるはずだ。政策・制度の数が多くなればなるほど、○×が混在する。全部○、全部×という政党の公約などないはずだ。

公約の中身に○×が混在する以上、公約だけで政党を選ぶのは困難だ。もし公約だけで政党を選ぼうと思えば、公約に掲げる政策・制度を可能な限り少なくして○×の混在をなくしていかざるを得ない。究極的にはワンイシュー(単一争点)選挙だ。

メディアなどの自称インテリはほんといい加減なんだよ。「ワンイシュー選挙は良くない。複数の政策・制度を吟味すべきだ」と言いながら、じゃあ実際に複数の政策・制度を吟味すれば○×が混在して政党選択ができなくなることを指摘しない。それでいてメディアは各政党が公約であれだけの政策・制度を掲げているのに、結局は原発・消費税・憲法改正の3点に絞って各政党を比較している。それって3イシューじゃん!(笑)

幅広く政策・制度を吟味しろ、と言いながら、そんなことを本当にやればどの政党がいいかなんて判断できなくなることをメディアは知っているはずなのに、きれいごととして幅広く吟味しろと言う。公約の政策・制度を一つ一つ吟味しても意味がない。やっぱり政党の「色」を大づかみに、つかんでいくことが重要なんだ。

まあこれは福袋を選ぶようなもんなんだよね。しかも同じような商品がごちゃ混ぜに入っている複数の福袋から一つの福袋を選択するような感じ。こんなときに袋の中身を一つ一つ吟味しても仕方がない。欲しい商品もあれば、要らない商品もある。宝石の専門家やおもちゃの専門家、器の専門家や衣服の専門家などに一つ一つの商品を鑑定させても福袋の選択には直接つながらない。自称インテリの政策吟味は個別商品の鑑定と同じようなことをやっているだけで福袋の選択には意味がない。福袋を選択する際、選択の対象は個別の商品ではない。あくまでも袋の中の商品を一つのまとまりとした福袋全体が選択の対象。この場合には福袋同士を比較するしかないんだよね。じゃあそのときにどうやって選択するか。袋の中の商品全体を一つのまとまりとした福袋全体の雰囲気と、あとは価格で決めるかな。これがまさに有権者の政党選択。

結局有権者が政党を選ぶにはその政党全体としての雰囲気、政党の色で判断せざるを得ないんだよね。政党の色というのはさっきも述べたけど、一つ一つの細かな政策や制度というよりも、政党の大きな考え方。だからこそ、政治家の議論で重要なのは、役所がやるような個別の政策や制度の議論ではなくて、政治の方向性についての大きな考え方の議論なんだ。

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