公明党は、どう動くのか

比較されることの多い「日本維新の会」の場合は、大阪府知事と大阪市長を務めた橋下徹が自治体改革について力強いメッセージを発し、大阪府内を中心に関西地区で大きな支持を得て、地域の意見を反映させるために国政に進出したという流れがあるので、流れとして納得できる。橋下の政策についてかなりの批評をしてきた私ではあるが、自分のその場その場の主張についてそもそも辻褄を合わせる気がない小池に比べ、国民に対して、何より自分の言葉に対して誠実に向き合っている印象を受けている。

「希望の党」とやらが、有権者をバカにしているのは、候補者選びからも見て取れる。自民党を離党した福田峰之は当選3回。しかし、選挙区の神奈川8区では、一度も江田憲司に勝ったことがなく、毎回比例復活当選だ。自民党では、2回以上連続で比例復活当選となった議員は重複立候補できない方針を検討しており、1回復活当選後、落選1回をはさんで2回連続復活当選の福田は、残っていたらダメなのは確実だったというわけだ。しかし、小池新党の看板を得ても、江田憲司に勝てる見込みは少ない。だから、「小池百合子」の名前の効果がありそうな東京都内の選挙区への鞍替えを希望した。新党は、元の地元の有権者に失望された候補者の「希望」ということか。

先に述べた通り、「希望の党」とやらが、何やら騒いだとしても、自公は正々堂々と闘い続けるしかないと思う。ここで小池の土俵に乗っかっては思うツボだ。特に公明党は、小池によって完全に狙い撃ちにされているようだ。小池は総理大臣の首班指名(国会で誰を総理大臣として投票するか)について公明党の山口那津男代表がいいとテレビ番組で主張し、のちに撤回した模様だが、おそらく公明党の小選挙区で対立候補を立てることを脅しに使いながら、自公に楔を打ってくる可能性は高い。小池の行政手腕を考えれば、どちらにつくべきかは自明と思うが、公明党の胆力と見識が問われている。

もう一つの不安材料は、自民党東京都連の体制が整っていないことだ。下村博文前会長が東京都議選で大敗した責任を取って辞任を表明した後、後任を決められないありさまが長く続いた。小池とは、はじめから徹底的に闘い続けろと私は主張してきた。小池とは小泉純一郎政権以来の付き合いだが、どう考えても自民党側から「仲良くしましょう」などと言って相手にするような人物ではないからだ。殺すか、殺されるか、選挙は人を殺さない、血が流れない戦争だというが、そろそろ自民党東京都連も目を覚ます時間ではないのか。