▼「森友」「加計」問題

【阿比留】野党や一部メディアの言う説明責任という言葉が具体的に何を指すのかよくわからないです。納得するまで話せと言われても、そういう人に限って納得する気がないんです。そもそも「森友」「加計」の、特に加計問題はフェイクニュースだと思っています。

望月衣塑子●1975年、東京都生まれ。慶應大卒。2000年に東京・中日新聞に入社し、これまでに地方県警、東京地検特捜部などを担当。武器輸出や軍学共同の取材にも注力してきた。

それは違法性を裏付ける証拠がまったくないからです。道義的にも悪いことをした証拠が1つもない。憲法第72条には首相は行政各部を指揮監督するって書いてあります。安倍首相は加計学園について何も発言していないと言われていますが、仮に発言していても問題はなく、行政がゆがめられたなんて言われる筋合いはないのです。

【望月】国家戦略特区諮問会議の議事要旨などの状況証拠を読み重ねると、不自然に「加計ありき」で話が進んでおり、同じく獣医学部の設置を望んでいた競合相手の京都産業大との比較考慮がされていないことがわかります。そのうえで、加計学園の加計孝太郎理事長は安倍首相とのゴルフや飲食を月1回のペースで繰り返していた時期もあり、加計学園の関係者によると、その代金の大半を加計さんが払っていたのではという指摘もあります。

もし安倍首相が実際に過剰な接待を受けていたらアウトです。元検事や弁護士によれば、この問題は贈収賄に発展する可能性も秘めています。国会の場でも、どういう関係性でおごった、おごられたのかを細かく質疑が行われるべき。韓国の学者や記者からは「なぜ日本はこんなに緩いんだ」と質問されます。「安倍さんは朴槿恵氏以上のことをやっているのになぜ特捜部が捜査しないのか」と。

▼北朝鮮情勢

【望月】今回の選挙でもう1つ気になることが北朝鮮問題です。Jアラートが鳴るなど、このところ騒々しい日々がずっと続いていますが、この時期に解散して政治的な空白ができるのは大丈夫なのか。例えば全国遊説に首相が行ったときミサイルが発射されても対応できるのか。国家安全保障会議(NSC)に首相がいなくてもいいのか。

年末にかけてもっと情勢が悪化していくという予測もあって、核基地限定攻撃という最悪のシナリオが年末に起こるかもしれないという話も出ている。だからこそ、安倍首相は今、解散に打って出たとも読めますが、金正恩とトランプの掛け合いは激化しており、北朝鮮が「政治空白」の隙を突く懸念はないと言い切れるのか。

【阿比留】今後、ますます米朝関係は緊迫していくと考えられる一方で、新たな経済制裁などの効果が見えてくるのは年末年始以降。アメリカはまずその効果を見ているから、今年中に有事は起きないという心証を日本政府は得ています。だったら今解散するのは、ごく当然の判断だと思うんですね。仮に来春にアメリカが北朝鮮に先制攻撃をかけたとします。すぐ収束するかわからないし、日本も被害を受ける可能性だってある中で解散できるのか。では解散しなければいいかというと、結局任期満了が来年末にはくるのです。

また、北朝鮮情勢がひどくなったときに対応するのは、国会ではなく内閣です。大臣がいて政府が機能していれば何も困りません。選挙中、官房長官と防衛大臣は常に東京か東京周辺にいるということを決めています。首相だってどこで演説しようと、国内だったらヘリで東京に数時間で戻れますから