ましてや、ここ最近の国会議員たちの相次ぐ不祥事を見れば、「こんな議員ばかりもうたくさんだ」とうんざりしてしまう国民が増えるのも当然です。その際たるものが、いわゆる「もりかけ問題」です。いまも謎につつまれたままの森友、加計両学園問題ですが、国家戦略特区活用自体は素晴らしい構想でも、あのような問題が出てしまってはマイナスでしかありません。

「徹底した情報公開」を実現させる

私たちは「しがらみのない政治」を訴えていくと同時に、「徹底した情報公開」を実現させていきます。ちなみに東京都では、今年9月から公金支出に関する情報をすべて一括してホームページに掲載しています。その情報量は年間約70万件。膨大な量に上りますが、データをきちんと管理し公開していくことは、都民の税金を預かる立場の人間として当然のことではないでしょうか。

日本国憲法改正に関しても、とかく9条問題にのみ焦点が当てられ、護憲か改憲かの議論に終始しがちですが、憲法は9条だけではありません。この国をどうやって守り発展させていくか、人体でいうならば骨格となる大切な存在が憲法であり、世界の潮流が刻一刻と変わっていくなかで、健全に議論する作業は欠かせません。たとえば、1票の格差問題や地方分権問題に関しても、現行憲法では存分に網羅しきれていません。9条に限定されず、世界を見渡す広い視野に立って、日本の将来の可能性を語りつくすべきです。

さて、この原稿を書いている時点で、アメリカのトランプ大統領は法人税率を現行の35%から20%に引き下げる税制改革案を発表しました。片や日本では、法人実効税率を現行の29.97%から2018年には29.74%まで下げることが決定していますが、その数字はギリギリ20%台をアピールするためのもので、アメリカのダイナミズムには到底太刀打ちできません。

このままでは日本はあらゆる面で世界から取り残されて辺境の一国になってしまう、そんな危機感を私は強く持っています。

「これから日本はどうなってしまうのか」「自分の老後は、この子たちの未来はどうなってしまうのか」、そんな不安な思いが蔓延する日本から、希望をもって明日を歩める日本へ。その思いから「希望の党」と名付けました。

都知事と国政政党の代表を兼ねることに対して不安の声も聞かれますが、そもそも自民党の代表である総裁と、一国の総理を兼ねることも同じではないでしょうか。立場に限定されることなく、日本に希望の灯をともすべく、国政改革をしていきたい。私はこう考えております。

小池百合子(こいけ・ゆりこ)
1952年生まれ。カイロ大学文学部社会学科卒業。テレビ東京『ワールドビジネスサテライト』などでキャスターとして活躍。92年政界に転身し、環境大臣、防衛大臣などを歴任。2016年、東京都知事に就任。
 
(構成=三浦愛美 撮影=原 貴彦)
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