リーダーは育てるものではなく、見つけるもの

――出口さんは、森さんについては「難しいディールをまとめる突破力が武器」とおっしゃっていました。ズバリ木庭さんの武器は何でしょう。また、新しく取締役になったお二人に今後、最も期待することは?

【出口】木庭君は何のスペシャリストかと言えば、まず法律に詳しいし、リーガルなセンスにすごく長けていますね。それだけでなく先ほどお話ししたようにリーダーに求められる全体を見る眼やフェアネスという「スキル」と「資質」がある。

僕はよく言うんです。「リーダーは育てるものではなく、見つけるものだ」と。中学校や高校の部活で、運動部に入っていた人たちに聞いてみてください。新入部員が入ってきて、その後、先輩として2~3カ月後輩の指導をする。その時「正選手になれるか控え選手かということが分かるか?」と。ほとんど全員が「分かる」と答えます。スポーツの世界は、運動神経やセンスを見れば分かりやすいですよね。

でも、控えの選手がキャプテンをやっている場合もあるでしょう。野球は下手だけれど、チームをまとめるのはすごく上手い。その能力は、4番エースで150キロを投げる能力とは全く別のものです。やはり経営者にとって必要なのは、その人の適性をよく見て異なる才能や能力を伸ばす力。そういう面では、木庭君は入った時からリーダーになる素質があると思っていました。若くても選手を上手に使える監督はたくさんいますから。

彼らに期待していることは簡単で、「業績を上げてください」ということに尽きる。中期経営計画達成に向けて、力を合わせて頑張って欲しい。それが望むことの全てです。どんな会社でも、業績を上げなければいけない。僕は、経営は彼らに任せて業績がどんどん上に上がっていくのを早く見たいと思っています。