この日の決勝大会では、予選を勝ち抜いた20組が優勝を競い合う。審査員は、音楽番組に関わっていた大御所だらけ。ゲスト審査員は「今すぐKiss Me」などのヒット曲で知られるロックバンド「LINDBERG」のボーカル・渡瀬マキさんだ。

98組が参加した予選はワンコーラスだったが、決勝はフルコーラスだ。なお、あくまで「のど自慢大会」なので、楽器演奏などは禁止。そのほか、バク宙、ステージ上での自社および賞品・サービスの宣伝、ドライアイスの使用、風船を活用した演出や応援などが禁止事項となっている。この禁止事項の数々には笑ってしまったが、ルールが重んじられるサラリーマン社会の縮図にも思えた。

場内のボルテージが高まる中、トップバッターである設計会社のパフォーマンスが始まった。曲目は森山直太朗の「さくら」。いきなりエンディング風のバラードだが、場内の反応は上々だった。ちなみに、この会社のエントリー番号は2番。エントリー番号1番は、仕事の都合で遅れているようだ。のっけから、サラリーマンイベントならではのハプニングである。

序盤を盛り上げたのは、保険会社による映画『リトル・マーメイド』の主題歌「Under the Sea」だ。セクシーな人魚のほか、くらげ、魚など海の仲間たちが勢揃いし、それをバックに赤いエビに扮した男性社員が歌い上げる。

「Under the Sea」のエビ男性(画像提供/三井不動産ビルマネジメント)

保険会社の「紅だー!!!!」

別の保険会社によるX JAPANの「紅」も味わい深かった。歌詞の内容は保険会社としてはどうなのかと思うが、この曲の知名度は抜群。高いキーを難なく歌いこなし、「We Are X!」の掛け声で盛り上げた。

人材紹介会社によるKARAの「ミスター」も圧巻だった。全員がセクシーなへそ出しルックで出演。個人的には、昔の教え子がそこに混ざっていて驚いた。出番終了後、彼女に「見ていたぞ」とLINEを送ったところ、「仕事が終わっていないのでオフィスに戻りました」という返信がきた。へそ出し衣装のまま、デスクワークをしていたそうだ。仕事も遊びも全力投球の姿に、先生は泣いてしまった。

システム会社は相川七瀬の「夢見る少女じゃいられない」で参戦。女装した男性社員のパフォーマンスとあって、ネタっぽさが漂うが、プロ顔負けの歌唱力だった。

サラリーマンらしさがにじみ出るパフォーマンスを披露したのは、これまた保険会社による松山千春の「君を忘れない」だった。松山千春といえば、乗っていた飛行機が遅延した際に機内で熱唱したのが話題になったばかり。出場チームはさっそくそのネタを盛り込み、ANAの飛行機のミニチュアを頭に載せてパフォーマンスしていた。しかも途中で追い剥ぎ役が現れ、松山千春が服を脱がされたところにお盆が登場。アキラ100%に早変わりだ。いろんな意味でスレスレのパフォーマンスを全力でやりきっていた。