小池氏は希望の党を「寛容な改革保守」と位置づけているが、原発ゼロを打ち出すことでリベラル層にウイングを広げる意味でも好都合だ。

細川元首相も小池氏支援に回るか

今後、小池氏にとってはもう1人の師匠である、細川氏も小池氏支援に回る可能性がある。小池氏と細川氏の関係は9月21日にアップした「秒殺された『野田聖子、小池百合子新党』」を参考にしていただきたい。

しかし、問題は小池氏がどこまで「原発ゼロ」に本気なのか、という問題だ。実のところ、小池氏はこれまで原発問題について、あまり熱心ではなかった。

東日本大震災から4カ月後の2011年7月、自民党の総務会長だった小池氏は機関紙「自由民主」で次のように発言している。

小池百合子総務会長に聞く 「脱原発」ではなく「超原発」で(自由民主党のウェブサイトより https://www.jimin.jp/activity/colum/112005.html)

そもそも、私は「脱原発」ではなく、「超原発」が必要だと言っています。原発を超えて、太陽光発電、風力発電、地熱、地中熱、潮力など自然に満ち溢れたエネルギーを使わないのはもったいない。菅総理は急に、再生可能エネルギー買い取り法案の成立を訴え、一点突破、全面展開を考えているようですが、それだけで国が成り立つわけではありません。わが党は、例えば、経済や雇用はどうするのかなどの問題も含め総合的な議論を進めていきます。(機関紙「自由民主」2470号)

さらに昨年7月、都知事選に出馬した際は「原発は安全性の確保が第一」というような無難な発言を繰り返している。環境相経験者でもある小池氏は、エコの観点から自然エネルギーの普及には熱心なのは事実だが、「脱原発」勢力とは、とても言い難い。明確に「ゼロ」を打ちだしたのは25日が初めてのようだ。

このあたりは、「脱原発」の老舗を自任する勢力から追及を受けることも増えてくるだろう。プレゼン能力の高さでは定評がある小池氏。追及をかわして、脱原発を求めるリベラルな層も取り込むか。それとも、付け焼き刃の「原発ゼロ」であることを露呈してしまい失速するのか。それは衆院選の結果にも影響を及ぼすことになる。

(写真=中西祐介/アフロ)
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