ゲームと違って、勉強を自発的にやれるか

【三宅】考えてみると、いろいろなテストも、一定の時間内でどれだけ問題を解けるかを競うゲームのようなものです。速い人、遅い人、正解した人、間違った人と、ゲームに似ていますよね。

三宅義和・イーオン社長

【藤本】それがゲームになるのは、自発的にやっているからです。やらされると、ゲームだって辛いじゃないですか。たぶん、子どもが母親から「あなた、このゲームで毎日1時間遊んでいなさい」と言われたら嫌がると思います(笑)。

【三宅】なるほど、自発性を持ってやるかどうかですね。

【藤本】テストは誰しも嫌なものです。それでも、いい成績を取り、受験でも志望校に合格できる生徒は、試験をゲームと見なして取り組んでいたりします。

【三宅】そこは、すごく重要な点ですね。例えば、授業中のドリル計算でも、「きょうは100問中、何問解けた。あしたは同じ時間で何問多く解こうと、それをゲームにしてしまって、自分の中で競い、あるいは友人と比べても楽しいでしょうね。

【藤本】そうです。

【三宅】ところで、最近はIoTやAI(人工知能)、ロボティクスなどテクノロジーの進歩に関する話題が、毎日のように報じられています。ITを利用した学習ツールの台頭も目覚ましいですね。具体的には、インターネット上で、誰もが無料で大学の授業を聞くことができる「MOOC」(=Massive Open Online Course、大規模公開オンライン講座)に注目しています。藤本先生はどのように評価しておられますか。

【藤本】私も東大で、海外向けの「MOOC」の企画開発を、4年ほど担当しています。世界中のトップ大学の講義を無料で受けられるという魅力は大きいですね。こうした動きが始まって、もう5年ぐらいになりますが、以前のオンライン教育と異なるのは、大学などの高等教育の「フリーミアム化」が起きた点です。授業は無料で受けられますが、一部の生徒は論文を提出し、修了証を貰う際にお金を支払うことになりますから。こうしたやり方は新しいビジネスモデルと言っていいでしょう。