1963年の大統領選挙で、朴正煕は大統領に就任します(在任1963年 ~1979年)。その後、全斗煥(在任1980年~1988年)を経て盧泰愚(在任1988年~1993年)まで、3代の軍人大統領政権が30年続くことになります。

韓国政治を貫く対立軸

韓国の現代政治史は、理想主義者と現実主義者の対立を軸に、今日まで推移してきました。前者は北朝鮮と「話せばわかり合える」と考える左派勢力であり、今日の文在寅大統領もこの系譜にあります。後者は北朝鮮を脅威と捉え、その封じ込めを戦略的に考える勢力で、朴正煕ら保守派の系譜です。

文在寅大統領は、盧武鉉を師と仰いでいます。文在寅は駆け出しの弁護士だった頃、7歳年上の盧武鉉と2人で法律事務所を開設し、苦楽を共にしました。盧武鉉政権下で、文在寅は大統領秘書室長にまで登り詰め、盧武鉉の右腕といわれました。

大統領になった文在寅が、師である盧武鉉の「太陽政策」を引き継ぐのは、日本をはじめ諸外国がどんなに首をかしげようと、自明のことなのです。

宇山卓栄(うやま・たくえい)
著作家。1975年、大阪生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。おもな著書に、『世界一おもしろい世界史の授業』(KADOKAWA)、『経済を読み解くための宗教史』(KADOKAWA)、『世界史は99%、経済でつくられる』(育鵬社)、『“しくじり”から学ぶ世界史』 (三笠書房) などがある。
(写真=AP/アフロ)
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