10億円以下で実現させたい

【田原】技術的なことはわかりました。でも、ビジネスの問題が残りますね。誰が宇宙ゴミの掃除にお金を出すのかという問題です。

【岡田】ご指摘のとおり、いまのところ宇宙ゴミ除去の市場はありません。ただ、じつはいまいくつかの企業が宇宙上にインターネット網をつくろうとしています。宇宙に数千の衛星を打ち上げて空から電波を送らせ、一気に新しいインターネット網を構築しようというのです。具体的にはボーイングは3000基以上、スペースXは4400基、サムスンは4600基、ソフトバンクグループが出資するワンウェブは900基の衛星を打ち上げる予定です。

【田原】それがお金になる?

【岡田】衛星は一定の割合で壊れます。1000基打ち上げたら数十基はデブリ(宇宙ゴミ)になる。そのままではインターネット網に穴ができるので代替機を飛ばしますが、そのためにはまず壊れた衛星を除去する必要があります。そこで企業が私たちのお客さんになるわけです。

【田原】なるほど。つかまえるのは、1回に1個ですか。

【岡田】はい。大きな宇宙船をつくって移動させながら1個ずつ獲っていくより、小さな捕獲衛星を打ち上げて1回1個のほうがコストを抑えられます。具体的な額はまだいえませんが、10億円を切る額にしたいです。

【田原】そんなに安くできますか。

【岡田】衛星を小型化しているので、お客様の衛星を打ち上げるときに一緒に横に乗っていく「相乗り」が可能です。そうすればコストを抑えられます。