ステップ3:痛みを消し去るには?

▼「1カ月で9割も痛みが軽減した」

日常生活を送るのが困難なほど腰痛や下肢の痛みやしびれが続くようなら手術を検討したほうがいい場合もある。だが、“見える腰痛”と“見えない腰痛”の多くは運動療法で改善することができる。ここからはその痛みを改善するメソッドを紹介しよう。

金岡氏によれば、「腰痛を患っている人のほとんどが、腰の筋肉を正しく使えていない」という。

ではどこの筋肉を鍛えれば改善されるのか。それは、背骨に直接くっつき、骨を支えている「ローカル筋」だ。

「ローカル筋は背骨のコントロールや体のバランス維持などで頻繁に使われる筋肉ですが、常に全力で動いているわけではありません」(早稲田大学スポーツ科学学術院教授 金岡恒治氏)

腰痛を和らげるには、ローカル筋の中でも、腰椎や骨盤を安定させるために欠かせない「腹横筋」と「多裂筋」の2つを活動させるのが効果的だ。まずはローカル筋にスイッチを入れる「ドローイン」から始めよう(イラスト参照)。

ポイントは、あおむけに寝て腰椎を下に押し付けるイメージで床にくっつけること。つまり背中を床に押し付けるように心がけてへそを凹ませて、骨盤を床側に動かすようにすると、腹横筋がしっかり働く。10秒、慣れてきたら30秒ほどおなかを凹ませよう。

ドローインの後は、いよいよエクササイズだ。ここで紹介したいのは最も手軽にできる「ハンドニー」だ。腹横筋にも多裂筋にも効率よく働きかけることができる(イラスト参照)。

「どちらのエクササイズをやるにしても、朝一番、左右2セットずつのプログラムがおすすめです。余力があれば、夜寝る前にもやってください」(金岡氏)

金岡氏が慢性腰痛を抱える40~60代の男女の患者にこのエクササイズを1日2分ほど続けてもらったところ、「1カ月で痛みが5割減る」という臨床結果を得られた。なかには、1カ月で9割も痛みが軽減したという人もいた。6カ月続けたころには、全体の平均で8割も痛みが軽減したという。