Q:財政刺激、金融緩和路線は転換するのか?

A:支持率低下により党内で意見の分かれる政策を推し進めることは難しくなったと述べたが、それでは、アベノミクスによる財政刺激、金融緩和路線が急転換する可能性はあるのか。

アベノミクスによる金融緩和、財政刺激に対し、自民党内からも批判の声は上がっている。野田毅・前党税制調査会長が主催する「財政・金融・社会保障制度に関する勉強会」は脱アベノミクスを主張し、同勉強会には、野田聖子議員が呼びかけ人として参画しているほか、石破茂議員、河野太郎議員なども参加している。

しかし、同勉強会の参加人数は、各種報道によると、1回目(5月16日)が80名(国会議員61名、代理出席19名)、2回目が77名(国会議員37名、代理出席40名)と国会議員の出席者は大きく減り、また今回の内閣改造で野田聖子議員、河野太郎議員は安倍内閣の一員となった。これに対し、故郷を支援する参議院議員の会(約100名)、日本の未来を考える会(若手議員28名)、党の国土強靱(きょうじん)化推進本部などを中心に、親アベノミクスの声は根強い(図表3)。

また、アベノミクスの急転換は、金融市場で株安、円高を引き起こし、短期的には景気への悪影響も懸念されるため、転換するにしても、それを避ける対案が必要だろう。大胆な金融政策と機動的な財政政策というアベノミクス方向転換の可能性は高くはないのではないか。