喫煙率をもとに喫煙店比率を考えるという具体案

【Bさん(人生経験豊富な男性)】おはようございます。煙草の「害」、あるかないかと言えばそりゃ「ある」に決まっています。しかしそれは、論者が言うほどのものではない、「有害」として問題視するほどのものでは決してないはずです。健全な常識で判断すべきです。

もし彼らが言うような害があるならば、人類はとっくに絶滅しているはずです、何百年にわたってフィルターもない「どぎつい」煙草を何の規制もされずに吸われ続けて来たわけですからね。それとも現代になって、煙草が突然有害なものに変質したのでしょうか。

煙草は「健康被害」の問題ではなく、煙や匂いの「マナー」の問題です。

【橋下徹】Bさん、有害の定義にもよりますね。受動喫煙がない場合と、受動喫煙がある場合とで健康状態に差が出るかと言えば、差は出るというのが医学的な通説です。これは現在、ある意味科学的に確定しているので、この点を我々で議論しても素人議論の域を出ることができず生産的ではありません。

影響差とは、豊洲市場で話題になった例の環境基準のように、10万人に1人の割合でがんが発生するとかそんなレベルの話ですが、いずれにせよ受動喫煙の健康被害は医学的に確定しています。喫煙が人類絶滅を来すとまでは言えませんが、喫煙者の周囲の人体に影響があることは確かでしょう。そして社会ではそのような影響をも阻止していこうということで規制・基準等が設定されています。放射能でもなんでもそうです。

Bさんの理屈だと、人類絶滅の危険がない限り、世の中の規制・基準すべてが不要となるというロジックで粗すぎます。受動喫煙の問題は単なるマナーの域を超えて、他人の健康に影響があるという前提で議論せざるを得ません。まずは喫煙者にそのような意識を持ってもらうことが必要で、Bさんのような方がいるからこそ、都民ファーストの会が提唱する罰則なしの理念的条例も必要でしょう(笑)。そうそう、妊婦の喫煙が胎児に影響することも医学的に確定しています。

さて、あとはどのレベルまで規制するかですね。欧米では飲食店全面禁煙が当たり前のようになっています。それでも不都合はなさそうです。その代わりパリでは路上喫煙が多いですね。

僕もAさんのように、市民にはどのような施設に入るのかを、お店には喫煙者を客として入れるかどうかを選択させることで良いと思いますが、あとは選択肢の幅の問題です。喫煙者や嫌煙者に選べる選択肢(店)をどれくらい与えるのかという話です。

もし論理的にその選択肢の幅を検討するなら、喫煙者と嫌煙者の割合を基にするのも一案です。喫煙者と嫌煙者の割合と喫煙店と禁煙店の割合を同じようにする、というもの。そもそも喫煙は法律で禁じられていませんので、喫煙者の存在自体は否定できず、全人口に占める喫煙者の割合程度には、喫煙できる飲食店を認めてあげる。すなわち、全人口に占める喫煙者の割合と日本の全飲食店数のうち喫煙できる飲食店数の割合を合わせていくというものです。これはある意味、無理やりのこじつけ根拠です。こじつけであっても、何らかの根拠を示さないと議論は収束しません。

そしてこのような喫煙店の割合になるよう逆算して、喫煙可能な店の面積等の基準を決めるというやり方が、僕の今回の提案です。厚生労働省案や、自民党案は、喫煙・禁煙の境界ラインにとなる店舗面積等について細かくルール化しましたが、この案によって結局どれくらいの数の飲食店が喫煙可能になるのか、それは全飲食店のうちどれくらいの割合なのか、それは喫煙者割合と比べてどうなのか、こんな観点で議論してみるのも一つの手ですね。

※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.70(9月5日配信)からの引用・ダイジェスト版です。もっと読みたい方は、メールマガジンで!! 今号は《[実践・課題解決講座]ゼミ生も参加!受動喫煙防止をどう考える?》特集です。