昨年9月の厚生労働省の発表によると、100歳以上の高齢者は全国に6万5692人。これは46年連続の増加で、人口10万人当たりの人数は世界一という。元「週刊現代」編集長の元木昌彦氏も、今年72歳となり、男性の健康寿命71.19歳を超えた。元木氏は「100歳」を目指す風潮に、敢然とぼやく。

誰のための「人生100年時代」なのか

「若者には未来なんてない、時間があるだけだ」

これは立川談志十八番「やかん」の中のご隠居さんの名文句である。

「ハンバーガーみてェな文明の残飯喰ってて、長生きするはずがない。それが証拠に、若いやつで長生きしている奴ぁ一人もいない」

日本には100歳以上の年寄りが約7万人いるそうだ。人口10万人当たりではイタリア、アメリカ、中国、インドを抜いて第1位である。

1963年には153人だったのが、1998年に1万人、2012年には5万人を超えた。まさに長寿大国である。といってもそのうち9割弱が女性ではあるが。

毎年4~5000人ずつ増えているというから、あと100年もすると100歳まで生きることが稀ではなくなるかもしれない。

どこの国でも長寿を寿ぐという習慣があり、日本でも喜寿、米寿、白寿と名付けて祝ってきた。ちなみに100歳以上は仙寿、110歳は珍寿、120歳は大還暦という。

そのうち還暦を2回祝う年寄りも珍しいことではなくなるかもしれない。

長生き男たちが望む「死ぬまでSEX」

そうした時代を先取りしてか、書店に行くと『人生100年時代の新しい働き方』『人生100年時代のお金の不安がなくなる話』『100歳まで元気でぽっくり逝ける眠り方』『100歳まで元気な人は何を食べているか?』『100歳まで元気でいるための歩き方&杖の使い方』などの本が並んでいる。

眠り方なんかいるか、死んでしまえばずっと寝ていられるんじゃ。杖のつき方で長生きできるのかと悪態をつきたくなるが、そんなに長生きしたいのかね。

アンチエイジング、植毛、ライザップとかで腹をへこますだけに何十万も使うという。

昔は地獄の沙汰もカネ次第といったが、今は長生きするのもカネがなくてはできないのである。

そうやって長生きした男たちが果てしなく増殖して、死ぬまでSEXと、ED薬を飲みながら女を漁る浅ましい世界がやってくるのだろうか。ゾンビの世界だね。