手取り24万円 うち7万を元妻へ“送金”する理由

商品はネットオークションに出品し、160万円以上の売り上げがあったが、偽物販売に目を光らせるブランド側が告発し、あえなく御用となった。商品を自宅に保管し自ら発送、代金も回収業者から自分の口座に振り込ませているなど、いかにも素人っぽい手口だった。

被告人は、「軽い気持ちで手を出したら意外に売れ、小遣い稼ぎになると思った」と弁明したが、年間5回も仕入れに出かけているところから、完全に調子に乗っていたことがうかがえる。

弁護人は、「仕入れ代が1回10万円で計50万円、渡航費用が夫婦で1回12万円計60万円、約250点売れたので発送費が15万円ほどかかっている」と、規模の小ささを強調したものの、すでに元は取れ、残った343点の売り上げは、ほとんど儲けになる計算。

妻はひんぱんに実家に帰ることができるし、発覚しなければやり続けていたと被告人も認める。犯罪だという認識はあったものの、偽ブランド品はノベルティ商品として安く売られており、購入者も偽物とわかって買っているのだからいいだろうとタカをくくっていたようだ。弁護人が、被告人に問いかける。

再婚した中国人の妻とふたり 月17万円で家賃や食費を……

弁護人「動機は金だったんですよね。あなたは自動車部品のメーカーで約30年働いてきたそうですが、給料はいくらになりますか」
被告人「手取りで24万円くらいでした」
弁護人「そこから、前妻と子供2人などが住む家の住宅ローン7万円、自分の妻と住むマンションの家賃6万円を支払い、残る11万円を生活費としていた。それでは苦しいということで、今回の犯罪を思いついたわけですね」

そうだったのか。事情はさておき数字だけを見れば、手取り収入24万円のうち、7万円を離婚した元妻へ毎月持っていかれるのはつらい。残り17万円で家族を養っていかなくてはならない。給料は変わらないのだから、重くのしかかる住宅ローン分を副業でカバーしたいと考えるのは自然なことだろう。