ヴァージン・ギャラクティックによる、高度100キロメートル以上での数分間の無重力状態を経験できる宇宙旅行の計画も進行中で、費用は約2800万円。短い時間のようだが、浮遊感を楽しむには十分だし、長いとかえって宇宙酔いになるという。

宇宙進出で人類の意識も変化する

本格的な宇宙旅行時代の到来。もちろん、かかる費用はそれこそ「天文学的」で、誰もが出かけられるわけではないが、人類社会に与えるインパクトは絶大だろう。

一つは、宇宙空間の利用、宇宙を利用した技術開発の定着とすそ野の広がり。民間の参入は、宇宙開発コストを劇的に下げる。スペースXの月周回旅行で民間人が払う旅費は、国際宇宙ステーションへの人員や物資の輸送コストを減らす効果があるという。

そして見逃せないのが、宇宙に人類が進出することによる、意識の変化である。

アポロ計画の宇宙飛行士の多くが「神」の存在を感じたり、地球のかけがえのなさに気づいたと報告をしたように、宇宙に行くことによって人類の感覚は劇的に変化することが知られている。

ロシアには、伝統的に、人類は宇宙に行くことによって次の段階に進化するという考え方があり、それが、旧ソ連の初期の宇宙開発プログラムを推進する力になったという。

今までごく一部しか行けなかった宇宙を多くが経験することで、人間の脳にどのような変化が起こるのか。

地球上の社会、文化に対する宇宙の影響は、これから本格化する。民間宇宙旅行の始動は、人工知能と並んで次の数年間の最も大きなトピックであることは間違いない。

(写真=NASA/The New York Times/アフロ)
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