私が“近代”のピークと捉えるのは、先進国で金利が最高値に達した1974年。97年には、日本は金利が2%になり、以降、金利が上がらない異常な事態が続いている。つまり産業革命以後続いた世界経済の拡大は、74年で終焉を迎え、近代経済学の前提は変わった。マルクス、ケインズの「働く人のための経済学」から、70年代以降はハイエクの「資本家のための経済学」に乗り換え、延命措置の状態で金融資本主義の終焉を迎えたに等しい。ここ十数年、変化を察知した私は、10年を長期として捉える現行の経済の本から、100年単位の動きを記した人文系の本に読書を変えた。

今こそ、近代とは何かを再考すべきときではないか。そもそも神様、政治、芸術は一緒のもので、それが近代化によって細分化されたと論じるのが『ミュージアムの思想』。この3つをトータルで捉えない限り、今起こっている近代のフレームワーク崩壊という現状を見誤ってしまう。

また『陸と海と』は、宗教改革時代に生まれた「ローマ帝国は陸の帝国で、イギリスが海の帝国」という考え方が記されている。現代風に言えば、中国が陸の帝国で、アメリカが海の帝国になる。政治・経済をシーパワーとランドパワーに分け、100年単位で物事を捉える欧米人の思考法がわかるはずだ。

そして今後、グローバル経済の中で帝国化していく世界を理解するために、さまざまな帝国論を分析した『帝国論』も一読の価値がある。

1 ミュージアムの思想/松宮秀治
 2 陸と海と/カール・シュミット
 3 帝国論/山下範久
 4 歴史とは何か/E・H・カー
 5 近代政治思想の基礎/クェンティン・スキナー
 6 社会学入門/見田宗介
 7 岩波講座 哲学11 歴史/物語の哲学/飯田 隆編纂
 8 人間の未来/竹田青嗣
 9 さらば、“近代民主主義”/アントニオ・ネグリ
 10 国家とはなにか/萱野稔人