“介護職は割に合わない”イメージが放置されている

3人が語る仕事の喜びに共通するのは、担当する人の人生に一歩踏み込んで関わり、喜怒哀楽を共有することでしょう。衰え弱った体や心の回復に力を注ぐ、夢の実現の手助けをする、意欲を持ち続けてもらうために知恵を絞り、目標達成に協力する、そして本人の喜びをわがことのように感じることができる。介護職は、そのような感動を実感できる魅力ある仕事と言えます。

写真はイメージです

最後にIさんは、こう締めくくりました。

「残念なのは、世間の“介護職は割に合わない仕事”というイメージが放置されていることです。人手不足解消には賃金などの待遇を上げることは不可欠ですが、仕事としてのイメージアップも必要ではないでしょうか。国が“やりがいのある仕事です”とPRするだけでは、真に受けてもらえないでしょう。でも、私たちが話したように、介護職ひとりひとりには、仕事をして感動した瞬間、モチベーションが高まる出来事があるはずです。そういう事例を声として集めて提示するのもひとつの方法だと思うんです」

そう熱く語るIさんは、介護業界で働くようになった時に先輩から「介護は、仕事をしながら感謝される。すばらしい仕事だ」と言われました。当時はあまりピンとこなかったようですが、今はそのことを心から実感しているそうです。

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