また、欧米のスーパーリッチは、早くから子どもを寄宿学校に入れ、金銭面や集団生活での苦労を経験させることで社会性を身につけさせる。そのため、「ル・ロゼ」のような、世界の王侯貴族や富裕層の師弟が集まるスイスの名門寄宿学校に子や孫を入れる人も多い。近年は日本の超富裕層の間でも一般化しているようです。その理由として、日本では英語、IT、金融経済の教育が遅れていることがあります。グローバル資本主義の時代は、富裕層と庶民の二極化だけでなく、グローバルに活躍する人とローカルな世界だけで生きる人との二極化も進むと言われます。前者には、英語、IT、金融の知識が不可欠ですが、日本の学校教育では学べない。だから、子や孫を海外に行かせるのです。

富裕層の間に「人生は旅」という考え方が根付いているように思います。庶民は「旅」といった場合、東京からニューヨークへ行く場所の移動、つまり「横軸の旅」だけを考えます。ところが、成功者である富裕層は、貧しく生まれたら上に上がって豊かになる“階層”という「縦軸の旅」の存在も本能的に知っている。だから、一番上に到達してもさらに上を目指し、宇宙船を開発して個人宇宙旅行に挑戦したりもする。要するに、教育が「縦軸の旅」であることを理解しているから、教育を重視するのです。

写真=PIXTA

稼いだお金はドルに替える

最後に、超富裕層のお金とのつきあい方ですが、普段は現金を持たない人も多い。資産運用では、株や債券、不動産などに分散投資することが基本です。その際、資産のほとんどを米ドルで保有する。米ドルが世界通貨だからです。カンボジアでもメキシコでも米ドルは使える。株式も債券も原油も金もドル建てでの取引が最も多い。だから、世界中の富裕層は、自国通貨で稼いだお金をドルに両替して保有します。

この考えは日本の富裕層にも浸透していて、例えばファースト・ハワイアン・バンクに預金している日本人のうち最も多い人は30億円を預けています。経済評論家などが「外国人投資家が安全資産の円を買っている」と言いますが、あれは嘘です。単に、日本株が相対的に割安だから、外貨を日本円に替えて日本株を買っているだけのこと。日本株が売られたら円も売られます。資産を保全するなら、庶民も富裕層を見習って、米ドルで保有し、必要なぶんを日本円に替えることを考えたほうがよさそうです。

(構成=大山弘子 写真=PIXTA)
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