大胆投資に不安の声も、新たな登竜門になれるか

一方で音楽業界に詳しい楽天証券経済研究所アナリストの今中能夫氏は「投資額100億円に対してぴあの純資産は約80億円。さらに、ぴあの営業利益率は1.1%と低いので、大きなアリーナの建設はかなり大胆な投資だと感じる」と指摘する。

地方では劇場の苦戦が顕著だ。「名古屋三座」の名鉄ホールは15年に閉館し、同じく中日劇場も来年春に閉鎖する予定だ。もう一つの御園座も経営再建中で、現在は劇場の上層部がマンションになる一体型ビルへの建て替えが実施されている。

だが今中氏は「みなとみらいは交通の便がとてもいいうえ、1万人規模の会場は特に人気が高い。ライブ産業は不況にも強く、アリーナ事業がぴあの新たな柱になる可能性も十分に秘めている」とも分析する。

また、小林取締役も「まだ検討段階だが、ステージの真裏に大きな搬入口を設け、ライブの設営をしやすく設計する。搬入、搬出が極めて楽になるので、競争優位性としてかなり使えるはずだ」と話す。

満員にすることができれば“売れっ子”の証しになる日本武道館(東京)も1万人規模の会場だ。ぴあの新アリーナも人気アーティストを夢見る若きミュージシャンの登竜門となる日はくるのだろうか。

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