産経紙面で「安倍ゴルフ」への批判は確認できない

第二次安倍政権発足以来、加計学園理事長の加計孝太郎氏と、会食やゴルフなど、14回の接触があったことが明らかになったが、そのなかで獣医学部新設の話題は一切出なかったと総理は説明した。

しかし、ゴルフをプレイした経験があれば、総理の答弁を疑問に感じるはずだ。フルコースを回り、昼食を挟めば、1回のプレイで5~6時間はかかる。その中で獣医学部新設が一切話題に上らなかった可能性もあるが、「総理のお仲間」に対して翌日の朝刊を読んだ政治家、官僚が忖度してしまうのが普通の感覚であろう。ゴルフ仲間に何か都合の悪いことをして「告げ口」をされたのではたまったものではない。

15年12月24日に昭恵夫人が「クリスマスイブ。男たちの悪巧み……(?)」と題してフェイスブックに投稿した写真に総理、加計氏とともに収まっていたのが当時三井住友銀行副頭取だった髙橋精一郎氏だ。次期頭取候補の一角だったが、昨年末に発表された新人事ではその選から漏れた。しかし、この7月、金融庁の参与に迎えられる。

13年10月、国土交通省は翌年夏に増枠される羽田空港国際線の昼間発着枠のうち、ANAホールディングスに11枠(日本航空5枠)を一方的に配分すると発表した。この前の月の9月14日には、ANAホールディングスの石坂直人調査部長(当時)らと総理がゴルフに興じた。発着枠を決定する重大局面でのゴルフだった。今年6月に取締役執行役員へと出世した石坂氏は前月の5月にも総理とコースを回っていた。

日枝久フジテレビ前会長はゴルフ仲間として首相動静に頻繁に登場するが、14年春には、岸信夫氏の次男、つまり総理の甥がフジテレビに入社。同年8月20日には日枝氏と一緒の組でのプレイ中に広島で土砂災害が発生し、野党からは被害を知りながらゴルフを始めたことに批判が出たが、本件も含め、産経紙面での安倍ゴルフへの批判は確認できない。

総理には好きなゴルフでリフレッシュする権利もあるだろう。しかし、総理との深い関係を示すゴルフを「お仲間」が利用する可能性を考えれば、最高権力者としてゴルフの相手を選ぶべきではないか。猛省が必要だ。

(写真=時事通信フォト)
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