50年以上にわたって、世界中の企業で女性のキャリア推進と組織の変革をサポートしてきたカタリスト。その日本支部であるカタリスト・ジャパンが6月、「第2回カタリスト・ソリューションズ・サミット」を開催し、国内企業約50社、約200人の経営者らが参加した。ランチパネルでは「プレジデント ウーマン」の今井道子編集長がモデレーターを務め、政府や民間企業のトップリーダーが壇上に集合。「ビジネス戦略としてのインクルーシブ・リーダーシップ」をテーマに、日本における課題や変化するリーダーの役割について議論した。刺激的なディスカッションの様子をリポートする。

PANELIST

内閣府
男女共同参画局長
武川恵子
武田薬品工業株式会社
代表取締役社長兼CEO
クリストフ・ウェバー
スリーエム ジャパン株式会社
代表取締役社長
デニース・ラザフォード
カタリスト プレジデント
兼最高経営責任者
デボラ・ギリス
 

──なぜ今、企業の活動においてダイバーシティ&インクルージョン(D&I)が重要なのでしょうか。

【ギリス】ビジネスにおけるインクルージョンとは、個々人が相違を認め合いながら多様な能力を発揮し、誰もが組織の一員であると実感できていること。多様な人材が集まっている「現状」を示すダイバーシティに対して、インクルージョンとは企業の戦略的な「行動」によって生み出されるものです。D&Iの2つがそろって初めて、イノベーションの土壌が育まれていく。これはカタリストが実施した各種調査でも明らかになっています。

【武川】多様な人材が活躍するD&Iは、人口減少のさなかにある日本にこそ必要な取り組みです。有望な働き手となるのは女性や高齢者、海外人材ら。しかし多様な人材がいても、長時間労働を良しとする均質な働き方のままでは、個人も企業もパフォーマンスを上げることはできません。働き方を柔軟に進化させ、意識改革を起こす必要性を政府も訴えています。表面に水をまくだけでは不十分。“粘土層”と呼ばれる中間層に働きかけ、隅々にまでD&Iの意識を行き渡らせるのがリーダーの役割です。

──本誌調査によると、多くの女性は現状を変えるリーダーシップに期待しています。どう取り組みますか。

【ウェバー】意識改革には並々ならぬ時間と覚悟が必要です。まずはあらゆる経営課題の中でも、D&Iが長期的成長を左右する最優先事項であることをリーダーが先頭に立って定義すべき。同時に、産休や時短、女性役員の登用といった個別の取り組みもおろそかにはできません。私たちはまずあらゆる立場の従業員の声に耳を傾け、そこからやるべき施策の優先順位を付けました。どれか一つではなく包括的に取り組むことで、次第にD&Iの機運が醸成されると実感しています。

【ラザフォード】グローバル展開しているわが社にとって、D&Iは企業のDNAとも言うべき重要課題。その視点でみると、日本は海外に比べて家庭を支援するエコシステムが不十分だと感じます。長時間労働という悪癖を取り除き、男女がバランス良く働き、家事を行える仕組みを整えていくべきです。例えばわが社ではフレックスタイムやリモートワークを導入し、私自身も率先し在宅で仕事をしています。「やればできる」、その模範をトップ自らが示すことが大切なんです。

【ギリス】D&Iという既存のビジネスシーンになかった新しい文化をいち早く受け入れ、部下をエンパワーし、信頼して責任を持たせる。謙虚さと勇気を持って一人一人と向き合っていく。その姿勢が、成功する組織における「インクルーシブ・リーダー」の条件です。

カタリスト特別賞表彰式

日本における企業の優れたダイバーシティ&インクルージョンの取り組みをたたえる「カタリスト特別賞」が創設された。第1回受賞企業として、女性の活躍や人材・職場の課題に対して成果を上げている5社が表彰を受けた。各社の取り組みはカタリスト・ジャパンのHPで公開している。

[受賞企業]
ドイツ銀行グループ株式会社LIXILグループ日本マクドナルド株式会社合同会社 西友株式会社三井住友銀行(写真前列右から社名アルファベット順)

[協賛]
武田薬品工業株式会社スリーエム ジャパン株式会社バークレイズブルームバーグ・エル・ピーボストン コンサルティング グループ、ブラウン・ブラザーズ・ハリマン・インベストメント・サービス株式会社、デロイト トーマツ グループ日本マイクロソフト株式会社