ちなみに、消費抑制に関連するキーワード(「節約」「買い控え」「財布のひも」など)の登場頻度を見ると、現状、先行きともに足元で低下傾向にあり、不安心理の和らぎとともに、消費の抑制スタンスも緩和している様子が見てとれる(図表8、9)。足元の堅調な消費関連の経済指標の動きとも整合的である。

「人手不足」「アニサキス」など、切り口は自由自在

足元で注目が高まる人手不足や値上げに関わるキーワードについても見てみよう。「人手不足」については、これまでも現状、先行きのコメント共に一定程度登場していたが、今年に入り、「人手不足」の登場頻度は上昇傾向にあり、人手不足感が強まっている様子がうかがわれる(図表10)。ちなみに、「人手不足」についてNグラム分析の結果を見ると、「人手不足」の前後に登場する単語は実にさまざまだが、それでも足元では、「続く」「継続」「深刻」「顕著」など、人手不足の継続や深刻化を示唆する文脈で使われるケースが散見された。

一方、「値上げ」の登場頻度も、現状、先行きのコメントの両方で、今年に入ってから増加傾向にある(図表11)。宅配便の値上げ報道や酒類の値上げが影響しており、Nグラム分析でも、「値上げ」の前後に登場する単語は「酒類」「ビール」などが目立つ。ただし、コアインフレ率が1%を上回った2014年、コアコアインフレ率が1%を上回った2015年と比べると、「値上げ」の登場頻度は少なく、当時と比べると値上げ圧力が強くない可能性が示唆されている。日銀の目指す2%インフレへの距離は、2014年、2015年時点と比べても遠いということかもしれない。