血縁とは関係なく作り出される親子関係

養子縁組とは、法律により血縁とは関係なく親子とみなされる関係を作り出す制度である。縁組をすれば、養子は、正当な夫婦から誕生した子ども(嫡出子)と同等の身分を取得する。

わが国には養子縁組の形態として、「普通養子縁組」と「特別養子縁組」の2種類が存在する。

普通養子縁組は、原則として、養親となる者と養子になる者の届出により効力が生ずる。縁組の要件はシンプルであり、当事者間に親子関係を創設するとの合意があれば、縁組の目的は問われない。実際、「家を守るための養子」「『子どもを育てたい』『老後の面倒を見てほしい』という親の要望による養子」「節税のための養子」など、その目的は多岐にわたる。

普通養子の場合、養子になる者が15歳未満である場合には、法定代理人が養子になる者に代わって縁組の承諾をする。また、未成年者を養子とする場合は、自己の直系卑属または配偶者の連れ子を養子とする場合を除き、家庭裁判所の許可が必要になる。縁組により、法律上、養親と親子関係が生じ、実親とは、親子関係は維持されるが、実親の法定代理人としての地位は喪失する。そして、戸籍上、父母欄には実父母と養父母の2組の親の氏名が記載される。

一方、特別養子縁組は、養親となる者の申し立てに基づき行われ、家庭裁判所の審判によって効力が生じる。特別養子縁組は、望まれずに誕生した子どもや、実親から虐待を受ける子どもなどに対する福祉を目的として1988年に設立された。要件としては、実親の虐待、遺棄がある場合を除き、実親の合意が必要、家裁に申し立てたときの養子の年齢が6歳未満(養親となる者が6歳未満から養育していたと認められる場合は8歳未満まで)といったものがある。また縁組により、法律上、養子先の親と親子関係が生じるとともに、実父母との関係は終了し、戸籍上、父母欄には養父母1組の氏名のみが記載される。ただし、近親婚を防ぐ役割もあり、縁組であることの最小限の手がかりを残すため、戸籍の身分事項に特別養子縁組を規定する「民法八一七条の二」が記載される。