補助金に頼らず働く女性にやさしい街に

――どのような街づくりを目指していくのでしょうか。

働く女性にやさしいベッドタウンです。残念ながら、関西で働く女性やママさんにやさしい街を挙げるのは難しい。だからこそ、そんな街に価値があると。家を買うときの決定権は女性にあるといいますしね。

とはいえ財政力が地域では一番弱いので、「保育料無料」というような過当競争はやりません。負けますから。だからこそ、民間の力を借りて、どんどん子育て環境や教育環境を整えていく。今度、地元の中学校とシリコンバレーをつないで授業をするんですよ。民間と自治体で成功事例をつくるためにいろいろ試してもらう“パイロット(試験的)自治体”を目指そうと思っています。

「四條畷に住んでるなんていいね」といわれるようになり、地元に住んでいる人が誇りを持てるような街にするのが市長としての役割です。近隣では奈良・生駒市や大阪・箕面市のような街づくりを見習っていきたいと思います。

――あくまでも人口流入による税収増を目指すのですね。

はい。今、地方がどこも「インバウンドをやる」といっているのは、観光に関する施策をやれば半額くらい国から補助金が出るから。「うちはやらないのか」と私に言う人もいますが、やりません。現時点では観光で四條畷には人は呼べない。ないものはない(笑)。

――そのぶん税収を人材に投じるということですね。

それが一番コスパがいいんです。今度長期学生インターンも始めるんです。「市長直下で街づくりをしませんか」と。地元の有力者を説得に回るプロセスも経験してもらう(笑)。公募した副市長とマーケティング職、学生、それに特別参与を加えた7人の「外部部隊」をつくり、内部に電気ショックを与えられたらと思います。

こうした取り組みが成功していけば、近隣自治体がまねをし、その隣もまねて……ということをやっていくと、人口の奪い合いではなく、日本全体がより良い方向に動いていくと思うんです。新しいシステムを生み、日本が前に進んでいくことと、街が良くなっていく姿とが重なっていけばいいと思っています。

構成=相馬留美 撮影=水野浩志