――副市長になる女性に対して具体的に求めることは。

市長は大きな方向性や最終判断を担いますが、地元を回ったり、省庁に予算を取りに行ったりする外の仕事にも多くの時間を割く必要があるため、副市長には市役所の実質的な経営を任せたい。ビジョンは一緒に考えますが、優秀な行政担当者たちと政策を進め、それを率いてもらいます。

それと同時に、働き方改革も担ってほしい。市役所は9時5時勤務といわれますがまったくそんなことはなく、結構ブラック。そのため、優秀な部長クラスの職員は「ひたすら働いて成果を出す」というのが成功体験になっていて、部下にもそれを強いがちです。ですので、多様な人材が働けるような職場にして、その人たちが生産性を上げていけるような新しい働き方を理解し、改革できるような人が着任してくれたらと。

この間面接した女性は、「私は結婚したかったけれどできなかった」と話していました。その女性なら、「その状況でこういう制度があれば働きながら結婚できた」と具体的に理由がわかるので、それを政策に反映できるはずです。あるいは、実際に子育てしながら働いてきた人なら、その経験を反映できる。今までの画一的な人材の「成功体験」とは違った視点を取り入れていきたい。

もちろん、「こうしたらいい」と思うところは女性職員にもたくさんあるはず。でも意思決定できるポジションではなかった。だからこそ副市長。これは市長選から公約していて、市民にも納得してもらっているし、議会や職員も了承しているので、あとはいかにそこに思いのある人が来て、変革を実現してくれるかだけなんです。

(右下写真)四條畷市の様子。中央部に飯盛山があり、東側が住宅地区、西側にけいはんなの研究都市地区がある。

――女性副市長の公募を決めたとき、内部の動揺はありましたか。

別のインタビューで女性の人事課長が「女性副市長が来たらハレーションが起きませんか」と質問されたのですが、彼女は「直前までインドで働いていた28歳が急に会社の社長になるほどのサプライズを超えることはない」と。何より私が市役所の“異物”(笑)