(3)身ぶり手ぶりや語調に注意

「海外の人は日本よりも身ぶり手ぶりが大きい」と思っている人も多いかもしれないが、会話の最中に大げさな身ぶり手ぶりを好まない人も相当数いる。手をあまり動かすのは下品と考える人もいるそうなので気をつけよう。

また、話し方の語調も気をつけたい。「語尾が尻上がりになるのは、子どもっぽい学生言葉と思われます。しきりに“you know”などを付けるのもそうです。例えばイギリスのメイ首相のスピーチなどを見ると分かりますが、政治家など、きちんとした人が話す英語は、全部語尾が下がります。それを練習する本があるぐらいです。身ぶり手ぶりとあわせて、落ちついた印象を持ってもらうためには大事なポイントです」(河野氏)

(4)お礼は具体的に

コミュニケーションが進んでくると、ホームパーティーなどに呼ばれることもあるかもしれない。もし呼ばれたら、ぜひ進んで参加しよう。ここで大事なのが、帰るときの一言。お礼をいうとき「今日はありがとうございました」「Thank you for today.」ではお礼を言ったことにならないのだ。

「『今日のあの話が面白かった』『あの料理がおいしかった。今度レシピをください!』など、何が良かったのかを具体的に言う。それくらい言わないと、褒めたことにはなりません。『サラダのドレッシングがとても気に入った』といったことでもいい。 “I loved it!”など、簡単でいいんです。相手が言われてうれしいことを、具体的に細かく伝えてあげる。それがお付き合いの基本です」(河野氏)

4.ミスを防ぐ「5ピース」での伝え方

細かく具体的に、というのは、仕事上の指示や連絡、依頼でも同じく意識すべきこと。「あれ、やっといてね」ではなく「**さん、**を**までに**しておいてくれますか? 大丈夫ですか?」と想像の余地を残さないレベルで具体的に全部伝える、というのが情報伝達の基本だ。それは、自分なりの解釈に任せると、人によって結果が違ってくるからである。

「例えば『帰るときは机の上をきれいにね』といったとします。机の上がきれいだと思う感覚は人によって違います。自分がきれいだと思えば片付けないで帰るケースもあります。電話以外置かないように、パソコンは引き出しにしまって鍵を掛ける、など、誰が聞いても間違いがないくらい具体的に指示することが大事です。部下から上司に話すときも同じことが言えます。できるだけ具体的に言った方がいい」(河野氏)

こうした伝え方は、あらゆる場面に当てはまる。上司に相談する時間が欲しいときに「今度お時間いただけますか」では、あいまい。「今日の午後に、30分、どこかでお時間いただけますか」という聞き方をする。サッとしゃべって判断を仰ぐような話なら、3分が妥当だ。

やりがちだが避けたいのが「今度の金曜日」「次の月曜日」などの言い方。どの日を指すのか人によって解釈が異なることがあるので、ミスを防ぐために曜日だけでなく日付を添えて伝えることが求められる。時間を表記する際は、日本時間か、どこの時間なのか、GMT(グリニッジ標準時)などと明確に書く。日本国内だけでやりとりしていると意識しないことだけに、覚えておきたいポイントだ。

その上で、お互いに分からないことは分からないと伝えることも大事だ。『聞いたら悪いかな?』などと思わず、正直に話そう。