細川元首相「そればかりは運ですから」

小池氏は新聞各紙のインタビューに「都政に集中しているので国政への進出はない」と明確に答えている。しかしながら小池氏も政治家。政治家は今日いったことが明日には変わるのである。

毎日新聞夕刊の人気の大型インタビュー記事「特集ワイド」に、「小池さん『倒幕』するかもね 細川元首相が読む次の一手」という見出しの記事(7月12日付)が掲載されている。

毎日新聞「特集ワイド 小池さん『倒幕』するかもね 細川元首相が読む次の一手」(7月12日付夕刊)

記事はそのリードで「小池百合子東京都知事が率いて都議選で圧勝した『都民ファーストの会』。かつて都議選の勝利をステップに国政選挙に挑み、自民党を下野させた日本新党旋風に重なる。彼女を政界へ引き入れた細川護熙元首相の思いを聞くと、意味深長なことを言った」と書く。

記事中の細川氏の話を取り上げてみよう。

「(小池氏と)会ってますよ。ホテルでコーヒーを飲み、相談を受けたりしています。都議選告示の2週間ほど前にも会ったかな。ぴりっとはしませんでしたが、豊洲市場問題は選挙までに明らかにしておくこととか、自民党の党籍は向こうが切るまでほうっておけとか。メールもきますよ。小さなことで<一生のお願い>とか言って、アハハ。もっと大きな相談をしてもらいたいんだけどね」

「来たるべき総選挙で、少なくとも東京の小選挙区で、小池新党は戦うだろうし、全国展開もあり得る。本人はやらず、都政改革、オリンピックの成功へ向けて専念するでしょう。それでいい。各地の首長などに日本新党の同志も結構いますから。政界、野党再編につながるかもしれない。小池さんは重要なプレーヤーとしての役割を果たすだろうし、期待もしています。もちろん、戦後の価値観、戦後憲法による平和で自由な社会を守る保守中道であってもらいたいが」

「それ(初の女性首相になるかどうか)ばかりは運ですから」  

小池氏が師と慕う細川氏も肝心なことは分からないらしい。いや分かっていて、はぐらかしているのかもしれない。

「勘と度胸」では日本一の政治家

「日本新党にはじまり、新進党、自由党、保守党と渡り歩き、新党の賞味期限が長くないことは、本人が一番わかっているはず。周囲がいくら騒いでも、よっぽどのメリットがない限り動かないでしょう」

こう言及するのは元細川首相の政務秘書官を務めた成田憲彦氏である。7月26日付の朝日オピニオン面の耕論「小池劇場、国盗(と)りは?」で彼の談話が取り上げられた。

その談話を読み進むと、こんなことをいっている。

「政治家・小池百合子の最大の強みは、勘と度胸です。2012年の自民党総裁選で石破茂さんを支持し、安倍内閣が続く限り自分に展望はないとの状況を招いた。しかし都知事選がチャンスに。チャンスをものにする能力は抜群です。今の永田町に、あれほどの勘と度胸を持った政治家はなかなかいない。もしも首相を狙うなら、自民党から迎え入れられる場合しかないでしょう」

「勘と度胸」……。沙鴎一歩も成田氏のこの談話に同感である。

ただ「自民党から迎え入れられる場合しかない」という点には賛成できない。都民ファーストの会が野党と手を結びながら、やがて全国レベルの「国民ファーストの会」に成長し、自民党を倒すときがくると思うからである。

もちろん国民ファーストの会の党首は小池百合子だ。そして日本初の女性首相が誕生する。

ただ7月15日で65歳になる彼女の年齢だけが、少しばかり気になる。小池氏に時間がそうあるわけではない。

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