PANA=写真
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サッカー日本女子代表監督 佐々木則夫(ささき・のりお)
1958年、山形県生まれ。小学2年生からサッカーを始め、帝京高校では主将として高校総体で優勝。明治大学卒業後、NTT関東に入社。33歳で現役引退。2006年1月に女子代表コーチ、07年12月に監督に就任。


 

「PK戦はもうけもんだよ」。緊迫のPK戦直前、お決まりの一発ギャグは出なかったが、“ノリちゃん”は、いつものように人懐っこい笑顔で選手たちを送り出した。なでしこジャパンのFIFA女子ワールドカップ優勝は、暗い話ばかりの日本に、久しぶりに明るい話題を提供してくれた。

帝京高校時代はキャプテンを務めた。明治大学からJリーグ1部の大宮アルディージャの前身、NTT関東サッカー部で社員兼選手として活躍。引退後は指導者に転身し、大宮アルディージャ監督、同強化普及部長などを歴任。2007年に日本女子代表監督に就任した。

代表監督として戦った08年の東アジアサッカー選手権では、3戦全勝で日本女子代表に初タイトルをもたらした。北京オリンピックでは、日本女子サッカー史上初の世界大会4位。戦うたびに強さを増していくなでしこジャパンを率いる名将は、就任4年目で女子W杯優勝という偉業を成し遂げた。

欧米チームを徹底的に研究し、それまで主流だったサイドに追い込む守備を捨て、センターでボールを奪って攻撃に転じる形に変えた。思い切った選手起用もことごとく的中し、控え選手たちも大活躍した。今大会でMVPと得点王に輝いた澤穂希選手が「今までの監督で、一番選手たちに近いところで話してくれる監督」というように、“ノリちゃん”は、鋭い観察力と巧みな人心掌握術を併せ持つ。

身だしなみに気を使い、すべての選手への気配りとケアを怠らない。ときどき選手から「それ、古いよ」と突っ込まれる一発ギャグまで計算ずくかはわからないが、それも試合前の選手たちの緊張を解きほぐす。

9月からはロンドン五輪の予選が始まる。笑顔の減った日本人をまた楽しませてほしい。