「間違い」を素直に受け入れることが大切 

難なく正解できただろうか。

大人には比較的やさしいレベルかもしれない。でも、小学生となると、その出来不出来に大きな差が出てくる。この差はそれまでの読書量や学習量が大きく関わっているのは言うまでもない。とりわけ辞書を引く癖が身についている子は漢字の読み取り能力が高い。また、親の子に対する接し方も、読み取り能力を左右しているように感じるのだ。

塾で指導していると、知識をどんどん吸収する子に共通する特徴に気づく。その筆頭に挙げられるのが、他者(塾の場合は講師に当たる)の直言に対して、自らの間違いを素直に認め、すぐに軌道修正できるスキルを有している点だ。

こういう子は漢字の読みで苦労することは少ない。そして、そんな子の保護者と話をしていると、柔軟な性格の方だなあと感服させられることが多いのだ。

わたしが経営している中学受験専門塾では、講師と保護者が対面して話す機会が多くある。季節ごとの面談会はもちろん、受験生の保護者とは子の受験校が最終決定するまで何度も面談をする。

和気あいあいとした雰囲気でおこなわれることがほとんどだが、ときにはシビアな話になる場合(成績や受験校決定の段階など)もあるが、知識をどんどん吸収する子の保護者ほど、塾側の話をじっくり聞き、その意見に納得するや否や、それまで抱いていたご家庭の方針をフレキシブルに変更してくれるのである。

子は親の鏡、親は子の鑑 

わたしが言わんとしていることはもうお分かりだろう。

「子は親の"鏡"」であり、「親は子の"鑑"」である。子は「鏡」のように親に似る。だからこそ親は「鑑」、つまり子の手本になる存在でなければいけない。

因果関係があると断言できる性質のものではないが、子どもの漢字の誤読があまりにも耳についたら、保護者自身がまず自身の日々のふるまいを熟考・反省すべきかもしれない。ひょっとしたら親が家庭内で、前述した漢字の誤読を繰り返す「権力者」のようになっているのかもしれないのだ(だから、子どもも誤読がいつまでも直らないのかもしれない)。

家族をはじめ周囲の意見を受けつけないオーラを日頃から放ってはいないか……。自分に厳しいことばをかけてくれる人はどれくらい身近にいるのか……。

読者の皆さんに対して高言を吐いているわたしだが、先日こんなことがあった。幼稚園児の息子がソファにだらしなく寝そべりながら、母親に「ねえ、ごはん、まだあ?」などとのたまった。思わず頭に血が上って説教しそうになったわたし。が、はたと立ち止まった。

これって普段のわたしの姿そのままではないか。

「子は親の鏡」「親は子の鑑」……そう、わたしも肝に銘じよう。

▼解答
(1)こと (2)みめ (3)にゅうわ (4)さかずき (5)はがね (6)ほんもう (7)じんじゅつ (8)とうと(9)あらわ (10)ひつぜつ
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