2つに分けられる「手に職」ルート

文部科学省が実施する「学校基本調査」では、専門学校卒業生全体の数とは別に、関係分野に就職した者の数も調べられている。公表データから卒業生全体に占めるその比率を算出すると、男子で71.3%、女子が80.0%(平成27年度)。専門学校=職業訓練校としてよく機能していることがうかがえる数値だが、ここでリクルートワークス研究所の調査データを用いて専門学校卒業生が従事する職業をみると、内実は図表1のようなものだという結果が得られる。

「理容師・美容師」や「看護師」、「診療放射線技師」「保母(保育士)」といった職業が散見されるが、一覧からは、関係分野に就職する者が多いとはいえ、従事する職業は「資格を要するもの(以下、【要資格職】)」と「資格とは関係がないもの(以下、【非資格職】)」の2つに大きく分けられることが指摘される。なるほど、専門学校が提供する教育には、医療や教育、社会福祉、理容関係といったものだけでなく、工業関係や商業実務といったものも含まれる。詳しい数値は省略するが、むしろ1990年代前半ごろは、これら2つの領域が専門学校教育の多くを占めていた。専門学校で工業関係や商業実務の学習をし、それを活かすような【非資格職】(生産工程作業者や事務関係)に就く。このような卒業生も珍しくないからこそ、上述のように、「学校基本調査」で関係分野に就職した者の比率が7~8割といった結果になっているのだろう。

いうまでもなく、職業訓練としては、両方があり得る姿である。どちらが望ましいということではないが、ただ、どちらのケースに該当するかで、働き方が変わる可能性は大いにあろう。というのは、【要資格職】の場合、資格に人材価値を上昇させ、それゆえ「守られた働き方」ができる。しかしながら【非資格職】の場合は守ってくれる武器がなく、しかも他の学歴出身者と同じ土俵のうえで評価される。この違いはかなり大きいと考えられるからだ。

では、実態として、専門学校卒業生たちはどのような働き方をしているのか。「2つの『手に職』ルート」という視点を加味しつつ、所得向上効果からみていくことにしよう。