「仕事と介護の両立」実現に向けた働き方とは?

さらに基本情報を知るとともに、自分の「状況」をしっかり理解して伝えることも大事だと和氣さんは次のように説明します。

「相談をされる際には、自分は何が不安なのか、何に困っているのかを明確にすることも大切です。そうすることによって、選択肢を整理できるのです。例えば、私のケースを紹介すると、午前中、母親が一人でいることに不安を感じていたので、(1)出社時間を遅らせる、(2)ヘルパーにお願いをする、(3)見守りカメラを設置する、と選択肢を3つに整理しました。ケアスタッフや介護者仲間からお伺いしたお話なども参考にした上で、見守りカメラを利用することを決めて、現在は、不安が解消されています。不安なこと、困っていることを明確にした上で介護者支援団体、経験者(玄人)、ケアマネジャーなどに相談できると、企業の製品・サービスの活用も含め、選択肢に対応した具体的な解決策が見つけやすくなるのではないでしょうか」

仕事と介護の両立を実現するためには、介護保険・介護サービスの概要を理解しておき、介護問題に直面したときに、選択肢の整理ができることが重要だと感じます。

▼6割が「仕事と介護の両立が困難」でやむなく自主退職

【介護離職の防止策その3:職場内で仕事と介護の両立実現に向けた働き方を模索する】

三菱UFJリサーチ&コンサルティング(厚生労働省委託調査)の「平成24(2012)年度仕事と介護の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書」によれば、「仕事と“手助け・介護”の両立が難しい職場だった」ことが仕事を辞めた理由と回答した割合は、男性(62.1%)、女性(62.7%)と約6割を占めています。

さらに、手助け・介護を機に仕事を辞めた時の就業継続の意向をみると、「続けたかった」を選択した人が、男性(56.0%)、女性(55.7%)がもっとも多く、離職した人の半数は、仕事と介護の両立を希望していた状況がうかがえます。