藤井四段へ、未来の自分へ

14歳にして29連勝を記録した藤井聡太四段のデビュー戦の相手を務めたのが加藤九段だということはよく知られている。自らの最年少記録を塗り替えた藤井四段に加藤九段はとりわけ関心を払っているようだ。佐々木勇気五段との対局に敗れた藤井四段に対して、ツイッターでエールを送っている。

「人生も、将棋も、勝負はつねに負けた地点からはじまる」
――加藤一二三九段のツイッター(@hifumikato) 2017年7月2日

加藤九段自身、誰よりも多くの敗北を積み重ねてきた。しかし、それはすべて自分の糧になったと振り返る。

「私は千を超える『負け』を重ねながらも、けっして腐ることなく『敗北』を糧として立ち上がり、敗北を上回る数の『勝利』を収めながら対局数を着実に伸ばしてきたわけです。断言します。私は負けて強くなったのです」
――加藤一二三『負けて強くなる 通算1100敗から学んだ直感精読の心得』(宝島社新書)

かつて加藤九段は全盛期の頃、引退間もない升田幸三実力制第四代名人と特別企画で対局したことがある。勝ったのは升田幸三だった。そのときのことを振り返り、加藤九段はこのように言う。「同じように、藤井四段と私との特別企画というのもありえるんですよ」(『ユリイカ』2017年7月号 特集・加藤一二三)。現役を引退しても、加藤九段の将棋に対する情熱は燃え盛ったままだ。

「(100歳になったら何してると思いますか?)将棋指してますよ」
――NHK ETV特集『加藤一二三という男、ありけり。』(7月1日放送)
(写真=時事通信フォト)
【関連記事】
藤井聡太四段密着「新幹線で号泣した日」
羽生善治「若手に負けぬための秘密の習慣」
人工知能に棋士が負けても悲観しなくていい
羽生善治×丹羽宇一郎「土壇場、修羅場の切り抜け方」
人工知能から学ぶ「英語学習法」