2017年7月21日(金)

ポテサラの「リンゴ」はアリかナシか?

“甘酸っぱさ”と“食感”が争点

dancyu 2015年10月号

文・澁川祐子 撮影・岡山寛司

「肯定派」「否定派」世論、真っ二つ

ポテサラは、どんな具も包み込む包容力を持っている。だから各家庭や店の味に個性が出る。だが、そうしたアレンジの範疇を超えた論点が一つある。それは、ポテサラにリンゴを入れるか否かだ。

その問題に気づいたのは、2015年7月末にカルビーから期間限定で発売された“サッポロポテトつぶつぶベジタブル ポテトサラダ味リンゴ入り”がきっかけだ。小学生と開発したというこの商品を見て、以前はリンゴがポテサラの定番の具の一つだったことを思い出した。だが、そういえば最近見かけないような気がするのはなぜか。謎を解くべく調査を開始した。

まずは先の商品が生まれた経緯をカルビーに尋ねたところ「この案を応募した京都の小学校の給食のポテサラには、リンゴが入っているそうです」とマーケティング部の小代(おじろ)剛さん。審査の段階で「そういえば昔はリンゴがよく入っていた」と盛り上がり、「リンゴというのが小学生らしい」と選ぶ決め手になった。

「給食」というキーワードが挙がったところで、今もリンゴ入りのポテサラを売っているとの目撃情報を入手。東京・麻布十番にあるスーパー「ナニワヤ」に向かった。人気商品だというポテトサラダには、確かに「林檎」の材料表示。赤いリンゴの皮もちらっと見える。そこで実際にこのポテサラをつくって10年という太田スミ子さん(73歳)を直撃すると「私が働き始めた20数年前は、缶詰のパイナップルが入っていました」と驚きの証言が。太田さんがつくるようになり、パイナップルをふじなどのリンゴに替えた。理由は「シャリシャリした歯ごたえがあり、赤くて彩りもきれいだから」だ。

(左)サッポロポテトの“ポテトサラダ味リンゴ入り”。マヨネーズの濃厚な味をリンゴの風味で爽やかに仕上げている。2015年8月末で販売終了。(中・右)ピリッとしたマスタードとリンゴのほのかな甘酸っぱさ。バランス絶妙な「ナニワヤ」のポテサラ。

一方、開業87年の「資生堂パーラー銀座本店」調理長・井上直久さんは「ずっとレシピは変えていませんが、リンゴは昔から入れてないですね」と語る。リンゴ入りは洋食店でなく、給食や家庭料理として広まったのだろうか。国会図書館や都立中央図書館で雑誌や新聞にあたったところ、1950~70年代にかけてリンゴ入りレシピをいくつか発見できた。だが、あまり多くの情報は得られなかったため聞き込み調査を敢行。最終的に20~50代の男女125名から回答を得た。

結果は、食べたことがない人はわずか3名。どこで食べたかという質問には、給食が50名で1位、実家が47名で2位と拮抗した。中にはみかんやレーズン、珍しいところでは柿や梨、マンゴーが入っていたという声も挙がった。

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澁川 祐子