日本の外食店もこれを取り入れて成長したのですが、現在は低価格訴求が行き過ぎた面もあります。コストの高い日本では、何かを犠牲にしなければ、サービス産業における低価格は実現できません。外食産業で起きた食品に関する様々な事件も、安さのために材料費を犠牲にした結果です。そうではなく、食材の品質を高めれば低価格競争には巻き込まれず、「安心・安全」を求めるお客さまが来てくださる。営業時間の短縮と同時に行えば、来店客数は減りますが、客単価は上がり、正当な利益も確保できるようになると考えています。

「てんや」も取り入れた“マック流”

マクドナルドとロイヤルHDには関係性もあります。当社グループの「天丼 てんや」は、岩下善夫さんが創業しました。実は岩下さんは、日本マクドナルド創業当時の設計・建築・立地の責任者です。1971年に銀座に開業したマクドナルド国内1号店から関わり、「これと同じモデルを日本の食の分野でできるのではないか」と構想を温めて、89年に「天丼 てんや」の開業につなげたのです。

「天丼 てんや」にはマクドナルドの流儀が反映されている。

てんや(運営するのはテン コーポレーション)の経営理念は「外食業は人間業」というもので、映画のシーンにあった「マクドナルドはファミリーだ」を彷彿させます。そういえば、スターバックスコーヒーの実質的な創業者であるハワード・シュルツ氏も「コーヒービジネスではなく、ピープルビジネスだ」という言葉を使っています。

また、てんやの「オートフライヤー」と呼ぶ天ぷらの揚げ機器は、マクドナルドのフライドポテトの揚げ機器から発想を得ています。てんやには、随所にマクドナルドの流儀が反映されているのです。

外食産業はいろんな視点で見られることも多く、「飲食業」だと言う人もいれば、チェーン展開するための物件開発が欠かせない「不動産業」だと言う人もいます。映画でも、クロックが新店舗の出店候補地を熱心に探すシーンが描かれています。そしてもう1つの視点が「人間業」なのです。労働集約型の側面があるからだけでなく、従業員も大事なステークホルダーの1人としてリスペクトする視点が重要だと考えます。