仮に、いま衆院選が実施されれば東京の42議席(小選挙区25、比例代表東京ブロック17)の半数近くは都民ファーストの会が握る可能性が高いというわけだ。もし、公明が中立に回れば、自民党は小選挙区で全滅することになる。東京選出の自民党議員はこうつぶやく。

「小池氏は間違いなく、国政へ進出してくるだろう。そのとき今回の都議選のような逆風が吹いていたら自民党は壊滅的ダメージを受ける。その前に動き出す議員も出てくるのではないか」。

都議選大敗を受け、自民党内には安倍晋三首相や菅義偉官房長官、萩生田光一官房副長官、下村博文幹事長代行らに対する不満が高まっており、展開次第では政局が一気に動き出しそうだ。

安倍首相は今年秋の臨時国会で、衆参両院の憲法審査会に自民党改憲案を提出する意向を表明しており、早ければ来年夏前の改憲発議を目指すとされている。ただ、党内には石破茂元幹事長ら慎重派がいるうえ、首相官邸サイドの強引な政治手法に反発する声が高まっており、支持率下落とともに首相の求心力が低下すれば、政治スケジュールは瓦解する可能性がある。

都議選前から「離党ドミノ」に悩まされている民進党の政党支持率は一向に回復せず、来年末に任期満了を迎える衆院議員たちは浮足立ち始めている。都議選では、民進党を離れた長島昭久衆院議員が都民ファーストの会の候補者を応援して回り、自民党を離党した若狭勝衆院議員ら複数の国会議員は小池知事と歩調を合わせており、安倍政権への批判票はすでに吸収されている。

ある民進党幹部は「これからも民進から離党者が多く出る可能性は高い。自民党からも反安倍の人々が出たら、小池氏側と一緒に新党ができるのではないか。そのときは『第3極』ではなく、一気に『第2党』になるだろう」と語る。国政進出の可能性は笑みを浮かべて受け流す小池氏だが、首相待望論が今後も強まっていけばアクセルを踏み込むとの見方は強い。「小池劇場第3幕」はあるのか。20年東京大会でホスト国の「顔」から目が離せなくなっている。

(写真=時事通信フォト)
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