特徴3:聞き分けがよく、意志が強い~そこから生まれる困った事態

彼女は、結婚宣言を総選挙という注目度の高いステージで行ったことに対して「選択肢としてはNMB劇場もあったと思いますが」と質問され、それに対して、以下のように回答している。

「すごく総選挙は、特別なイベントで、ファンの方と一緒に作り上げるイベント。なので私の個人のことですごく水を差してしまうって思ったのですが、どうしても言いたいと思って決めました」(日刊スポーツ、6月22日)

この類いの質問は何度も繰り返されているが、その度に彼女は、とても上手な論理構成で「悪いとは思った」、そして「批判は甘んじて受ける」、それでも「自分はそうしたい」、と畳み掛けて返答している。それはもう見事なものだ。

繰り返し「申し訳ないことをした」と詫びてはいる。しかし彼女のセリフを借りると「ずっと、傷つけて、すごく傷つけて、批判されても、嫌われても当然のことをしてしまったんですけど、私としては絶対、ここまで応援してくださったことを絶対に忘れずに夢を実現させたい」と、自分の意志を貫き通すために、絶対的な私に戻ってしまう。

須藤凜々花さんのInstagramアカウントより

これがビジネスの現場だと、期せずして「強い意志がある」「若いのによく頑張っている」と評価されることがある。しかも、最初に反省するという姿勢を見せることによって、ある種の聞き分けのよさまで(結果的に)演出されている。自分で考える力がある、行動力もある、思考力もある、そして、聞き分けられる素直さもある。ここまでそろえば、印象のよさは完璧だろう。しかし実際に行動した結果は「自分のことしか考えていません」という、身もふたもないことになってしまっている。

このあたりを選考時に見抜けなかった、と悔やんでいる採用担当者は多い。そして、現場で若手の育成を担当する人たちは、頭がよく、自分で考える力があり、行動力もあって素直という、一見ものすごく優秀な人材(に見える)彼らの能力を引き出せないこと、指導がうまくいかないことに、「自分が悪いのだろうか」と戸惑ってしまう。

彼女は会見の中で「大人に相談した」と繰り返し発言している。相談された大人はおそらく、さまざまなアドバイスをし、彼女を止めたことだろう。しかし周りの大人たちがいくら説得しても、結局最終的には「自分のやりたいようにしたい」と彼女は自説を曲げなかった。そんな彼女に困惑し「それは相談じゃないよ」と言いたくなったであろう周りの大人たちを想像すると、ちょっとつらくなってしまう。