2017年7月7日(金)

国内7大「かつ丼」徹底解析

ソースか味噌か、はたまた卵とじか

dancyu 2015年6月号

文・松浦達也 撮影・竹内一将 食品サンプル製作:まいづる 浅草かっぱ橋支店

日本広しといえど、一つの主材料で、これほど多様な味わいを醸し、国民を熱狂の渦に巻き込む丼があるだろうか……。「いや、ないっ!」そう断言したくなるほど、かつ丼は無限の可能性を秘めている。「元祖かつ丼」について調べるほどに混迷を極める理由は? ここでは全国のかつ丼を調査し、全7類型をピックアップした。国内7大かつ丼の成り立ちからチャームポイントまでも徹底解析。かつ丼ツアーマニア必携! さあ、旅に出よ!! かつ丼を食え!

かつ丼のルーツは我にあり!「ソースかつ丼」

地域:福井ほか
分類:かけ
特徴:味つけはソース
チャームポイント:ソース。むしろそれ以外の特徴はバラバラである。

▼解説

かつ丼界における最古の記録は、1913(大正2)年、早稲田の「ヨーロッパ軒」店主がソースかつ丼を考案したというもの。その10年後、関東大震災が起き、店は郷里の福井に移転。当時の“名物丼”は、薄切り一口かつにウスターソースの味つけだったという。

約100年後の現在では、「ソースかつ丼」自体は長野、山梨、埼玉、群馬、福島などで確認されているが「一枚かつor薄切り一口かつ」「ウスターソースorとんかつソース」「キャベツの有無」など要素の組み合わせはバラバラ。このバリエーションこそ深い歴史の証左である。

とじてこそ正義!「かつ丼(卵とじ)」

地域:東京ほか
分類:とじ
特徴:割り下で煮たかつを卵とじ
チャームポイント:不均等なとじられ具合。「一部分だけカリッとしていると萌える」という領民(ファン)が多数いるらしい。

▼解説

卵とじかつ丼の出自は早稲田「三朝庵」説や大阪説など諸説あるが、いずれも1921(大正10)年頃と時期は一致している。その少し前、蕎麦屋に親子丼などが導入されたことを考えると、“卵とじ”は大正以降の蕎麦屋でメニュー入りしたと考えるのが自然である。

戦後もソースやタレが幅を利かせる地域では“とじ”のない店も多かったという。高度成長期以降、交通や情報インフラが整備され、“卵とじ”が全国くまなく浸透した。「かつ丼」参勤交代である。

この連載記事のバックナンバー
トップページへ戻る

松浦 達也