受験勉強は役に立たないのか。大学別の公務員就職者数ランキングをみると、十分に役立つといえる。試験に強いのは、圧倒的に私立より国公立だ。大学通信が各大学から聞き取った最新データを公開する――。

総合職は倍率13.8倍の狭き門

いまや小学生のなりたい職業ランキングの常連にもなった「公務員」。売り手市場といわれる近年の就職活動でも、公務員は、「雇用の安定」と「労働環境のよさ」という理由から人気が高い。

公務員には、大きく分けて国家公務員と地方公務員の2つがある。このうち国家公務員の試験は、2012年度からI種試験が総合職試験に、II種試験が一般職試験にかわった。前者がいわゆる「キャリア」、後者が「ノンキャリア」と呼ばれる職種になる。総合職試験は難関だ。2016年度の試験では1万8927人の申し込みがあり、最終合格者は1372人。倍率は13.8倍の狭き門だった。

総合職試験は院卒者と大卒程度の2つにわかれている。試験日程は春と夏の2回。メインとなるのは春試験で、院卒者は8、大卒者は10の区分がある。区分は「政治・国際」「法律」「経済」「工学」「農業科学・水産」などとなっていて、それぞれ採用人数が違う。公務員になるには法学部が有利、というイメージがあるのは、こうした区分のなかで「法律」の人数が最も多いからだろう。

2017年度の採用予定数(大卒程度)は、「法律」が約180人なのに対し、「政治国際」は約20人、「人間科学」は約10人となっている。だが、早合点は禁物だ。文系と理系にわけると、文系で「法律」の次に多い「経済」では約75人の採用枠があり、文系の4区分合計では約285人となる。さらに理系区分では「工学」は約80人、「農業科学・水産」は約25人で、理系の6区分合計では約155人となる。「法律」以外にも採用枠はあるのだ。

院卒者試験では、文系より理系のほうが採用人数は多い。全体で約265人のうち、文系は約85人で、理系は約180人となっている。国家公務員を目指すうえで、必ずしも法学部を選ぶ必要はない。

いわゆる「ノンキャリア」となる一般職試験(大卒程度)には、3万5998人の申し込みがあり、最終合格者は7583人で、倍率は4.7倍だった。昨年に比べると、団塊世代の定年退職を補うため倍率は低くなっているが、申込者の数は減っている。大きな特徴は女性の応募が増えている点だ。女性の申込者割合は34.3%。5年連続で3割を超えて過去最高となった。

なお国家公務員試験には、このほかに専門職試験がある。職種としては、皇宮護衛官や法務省専門職員(いわゆる刑務官など)、国税専門官、食品衛生監視員、労働基準監督官、航空管制官などがある。