家庭でできる算数レッスン 小学校低学年「引き算」編

では、引き算はどうか。実は「さくらんぼ足し算」は大好きでよく答えられる子が、「さくらんぼ引き算」になると、とたんに苦労するというケースは少なくない。

たとえば、15-8=(  )という問題。

まず15を5と10に分ける。そして10-8=2をする。最後に残った5を足して7と答えるのである。

引き算なのに最後に足し算が出てくる。それで混乱してしまう子どもがいるのだ。個人的には、このさくらんぼ引き算を教えることに有効性をあまり感じないのだが、小学校で出てくる以上、無視はできない。それに合わせて家庭でも親子で軽くレッスンしておくといいだろう。

やるといいのは、10から1ケタの数字を引く訓練だ。10-8や10-3を繰り返しやるわけだが、ポイントは「1秒以内に即答できる」こと。それを目標にレッスンすれば、学校の勉強でつまずくことはなくなるだろう。

算数におけるつまずきは、やっていること(計算など)が難しくて理解できないことよりも、制限時間内に解くためのスピードが身に付いていないことが原因で発生することが多い。計算処理速度が遅く問題を全部解けない。その結果として苦手意識を持ったり理解が追い付かなくなったりするのだ。

問題集を買い与えてたくさん解かせるのは、逆効果

そうした残念なプロセスをたどらないためにも、前述の要領で足し算と引き算の基礎を家庭でもやる。わざわざ塾に通う必要はない。子どもに学校で出てくる「肝になる計算」だけを繰り返しさせれば、少なくとも落ちこぼれになることはないだろう。

だが、ときどき“やりすぎる”親も見かける。ありがちなのは問題集を買い与えて、たくさん問題を解かせようとすること。よかれと思って子どもに問題集を解かせるのだが、逆効果になりやすい。市販の問題集には、学校準拠ではないものがあり、その場合は学校のやり方と違うので混乱して、さらにつまずいてしまう。とにかく「簡単なものを一瞬で答える」訓練だけで十分。その点、『百ます計算』は理にかなっている。