仕事や家庭の悩みはすべて解決できる! 京セラ、セブン&アイ・ホールディングス……。世界に名だたる経営者のDNAが息づく「門外不出のノウハウ」を紹介します。

問題:未経験の部署へ異動することになった。自分にできるだろうか。どう思えばいい?

京セラセオリーなら――まずはやってみる

人事異動で自分が苦手だと思っている仕事を任されたら、あきらめるしかないのだろうか。

「若い人は、何でもやってみたらいい。自分でこれは苦手、これは得意と決めてしまうのはもったいない」

とアドバイスするのは京セラの山口悟郎社長だ。

「僕は営業の経験しかないけれど、営業の中ではいろいろと担当が替わり、そのたびに不安になったものです。実際、担当エリアが関東から関西になったときは相当に苦労しました。関西の電機メーカーは関東に比べてずっとシビアですからね(笑)。でも、やっていくうちに人脈が広がり、いい成績をあげることができました。経験もないのに苦手と考えるのは、単なる思い込みです。やってみれば案外うまくいくもの。やらない理由を並べるより、一歩踏み出してみることが大事だと思います」

JAL客室本部の瀬貫由美氏も、苦手意識のあった仕事に担当になって戸惑いを感じた経験がある。JALはグループ会社も含め各部門の社員を選抜して、1年間、フィロソフィ教育の進行役として社員の意識改革にあたらせている。進行役に選ばれるのは名誉なことだが、客室乗務員としてのキャリアが長い瀬貫氏は、大役に不安を抱えていた。

「進行役は社員のみなさんとともに2時間、JALのフィロソフィについて語ります。受講するのは、多いときで80人くらい。フライト中に1対1でお客様とお話しするのは慣れていますが、大勢の前で話すのは恥ずかしくて、腰が引けていました」

それでも挑戦したのは、稲盛和夫氏の著書の中に「まずはその仕事を好きになる努力をしよう」という言葉を見つけたからだ。

「進行役になれば、部署の壁を超えて多くの仲間と出会い、一体感を味わうことができます。その喜びを意識するようにしたら、大勢の人の前で話すことが苦ではなくなりました。いまでも人前で話すのは上手ではないかもしれません。前向きに取り組めたのは、単純にその仕事を好きになったからだと思います」