日本企業が、迫り来る働き手の減少期にも業績を伸ばしていくためには、諸外国と比べ低い低いといわれながら、なかなか改善しない生産性を引き上げることが急務となっている。規模の大小にかかわらず、生産性向上に取り組む企業において広がっているのが、端末の種類場所を選ばず使えるクラウドアプリケーションと、クラウドのメリットを最大限に生かすことができるモバイルデバイスの利用だ。

中小企業を対象とした人事評価制度の構築・運用支援サービスを提供している株式会社あしたのチーム(以下、あしたのチーム社)は、客先で同社のサービスをプレゼンするために営業職にWi-Fiルーターとノートパソコンを持たせているほか、クラウドベースの営業管理システムを利用するためにiPhoneを支給するなど、業務効率化のためのモバイルインフラ整備に投資している。

今回、あしたのチーム社に日本HPの最新モバイルデバイス「HP Elite x3」を試験的に導入してもらい、従来の環境との比較や同社業務における可能性について、あしたのチーム 取締役 経営企画本部長 赤羽博行氏、執行役員 マーケティング部長 鯨岡 務氏、マーケティング部 佐藤千尋氏、経営企画本部 人財開発部 清水菜生氏に聞いた。

取締役 経営企画本部長
赤羽博行(あかはね・ひろゆき)

――あしたのチーム社におけるモバイルワークへの取り組みについて教えてください。

【赤羽氏】当社は一歩も外出しない社員は東京で採用しなくてもいいという考えで、徳島にサテライトオフィスを持っていまして、テレビ会議システムを使ってすべての業務を行うテレワークの事例があります。徳島県知事から表彰も受けています。外出の多い業務向けのモバイルワークの事例としては、以前は通話用のガラケー、お客様先でデモを見せるためのノートパソコンとWi-Fiルーターを支給していましたが、通話だけでなく予定表をはじめとした営業のツールを移動中でも確認したり入力したりできるようにと、2015年に営業部隊など外出の多い社員にiPhoneを支給し始めました。ガラケーからiPhoneに変わったことで、営業担当が移動中にいろいろできるようになって、移動時間が無駄にならなくなりました。

――「HP Elite x3」の実証試験をしようと判断された理由は?

【鯨岡氏】iPhoneを使っていますので、それと同じなら試す意味はないのですが、HP Elite x3の「PCそのものを持ち出して、ディスプレイなど周辺機器もその場の環境に応じて変えながら、必要な情報を適切に見て操作もできる」という概念がいままでに無かったので、iPhoneと何か違うのかな、これは実際に使ってみたいなと思いました。今はiPhoneを導入していますが、HP Elite x3に切り替える可能性もあるかもしれない。それには一度使ってみて本当に生産性が上がるかどうか検証して判断していこうと、数名のメンバーで試すことにしました。また、当社ではOffice 365を利用していますが、iPhoneで使ううえで不便なところを感じていたため、Office 365がフルに使えるという理由も大きかったですね。

【赤羽氏】ノートパソコンとスマートフォンの2台持ちでの作業は、1つのクラウドツールに対してデータを登録するという意味で問題ないのですが、2台を1台に集約できてコスト削減ができるのであれば、切り替える可能性は十分にあると考えました。

執行役員 マーケティング部長
鯨岡務(くじらおか・つとむ)

――導入から3週間ほどたちますが、「HP Elite x3」を実際に使ってみていかがでしょう。

【鯨岡氏】私はマーケティングとして外注先や取引先と会ったり、セミナーに出たりしています。営業のツールを使う上ではiPhoneで不便は感じていませんでしたが、iPhoneに加えてHP Elite x3を持つ“2台持ち”になって一番いいと感じたのは、Officeファイルを開きながらiPhoneで通話することですね。スピーカーフォンやBluetoothマイクを使う手もあるでしょうけれども。PowerPointの資料を細かく作るような仕事もしていますが、ディテールのところまで生のデータをHP Elite x3で見ながら、外出先でもすぐ打ち合わせできる。HP Elite x3と通話用の端末の組み合わせは非常に良く、生産性は間違いなく上がっていると実感しました。

もう一つ、虹彩認証はすごいですね。指紋認証だと角度によって認証できず持ち直したりするのですが、目ですぐに認証してくれるので満員電車のなかでも片手でストレスなく使えます。OSがWindows 10 Mobileなので、アプリがもう少し充実しているといいと思いますが、ほとんどのビジネスツールはWebブラウザで使えるので、アプリのないチャットツールなどはWebでアクセスしていました。

経営企画本部 人財開発部
清水菜生(しみず・なつみ)

【清水氏】私は人財開発部で採用関係の業務をしています。外に行く機会があまりないので、携帯は支給されていません。これまで、学生さんを集めて採用説明会を開くときは、評価シートを印刷して持っていって、記入した評価を帰社してからExcelに転記していました。それがHP Elite x3を使うとExcelのシートにその場で入力できて、帰社したら少し修正すれば資料ができるようになり、とても効率的になりました。いま採用の業務では、LINEやFacebookなど学生さんとの接点がモバイルデバイスへと変化しているので、そういうところでもいろいろな使い方ができると思っています。

【鯨岡氏】HP Elite x3を試して、やっぱり業務の中でOfficeを使う比率はすごく多いんだなと改めて感じました。私はExcelを見るために外で立ったままノートパソコンを開いて、電話で打ち合わせすることもあります。人目が多いところでも、平気でできるようになってしまったのですが、そうしたことをやらずに済むのは大きかったですね(笑)。

――「HP Elite x3」で使うOfficeは、iPhoneなどほかのスマートフォンとどう違いますか?

【佐藤氏】私はマーケティング部ですが広報業務もやっていまして、外出は営業の次に多いくらいです。1日平均3~5本の原稿をチェックする作業があるのですが、iPhone上では見るだけで修正ができないので、外出時は紙に印刷して移動中に赤字を入れ、帰社してから改めてWordに入力したり、急いでいるときには原稿の修正のためだけにノートパソコンを持って行って、電車内で立ちながらパソコンを開いて作業したりしていました。

マーケティング部 
佐藤千尋(さとう・ちひろ)

【鯨岡氏】iPhoneでPowerPointファイルを表示すると、ノートパソコンでの表示と違うのも困っていました。表示確認のためにわざわざPDFに変換して送ってもらったり、逆にこちらから営業に見てもらうためにPDFにして送ったりしていましたが、HP Elite x3はOfficeファイルがノートパソコンと同じように表示できるので、PDF変換がいらないというのもよかったと思います。

【佐藤氏】原稿修正作業では、Wordの校閲機能を使って修正履歴を残したりコメントを付けたりするのですが、HP Elite x3はそうしたところも普通にノートパソコンと同じように操作できるので、説明書をあまり見なくても、慣れているパソコンのWordと同じように使えてすごく分かりやすかったです。HP Elite x3であれば、1つで作業が完結できるので、いちいち紙に印刷して赤字を入れて、それをまたWordに入れ直すのに比べると、かなり時間と手間の節約になると感じました。

実証試験の間、個人のiPhoneと会社のiPhone、それにHP Elite x3の3台を持ち歩いていましたが、負担は感じませんでした。ノートパソコンと同じことができてかつ、軽くて薄いことのメリットはすごく大きいですね。外出の際に、必要に応じて自分のバッグに加えて会社の袋にノートパソコンとACアダプタ、それにWi-Fiルーターを入れて持ち出していたのですが、HP Elite x3を使うことで1つ荷物が減らせました。

「HP USB-Cトラベルハブ」を接続し、ディスプレイを活用したデモの様子。マウス、キーボードとの連携使いも可能となる。

――御社の業務において「HP Elite x3」は総合的にどのように評価されますか。

【鯨岡氏】混んでいる電車の中など、ノートパソコンが使えなかったシチュエーションでも作業できるようになって、プラスアルファの業務時間が創出されたようなイメージですね。いままでなにもできなかった時間に作業できるので、トータルで退社時間も早くなる効果もあるんじゃないかと思います。ポケットからぱっとHP Elite x3を出せばすぐ使えるので、いつでもやりたいときにやりたい仕事ができる環境に近づいた印象があります。

当社のコンサルタントは、お客様先でデモをする際はノートパソコンで行っていますが、これだけ持って行って先方のディスプレイにつないで、サッとデモを見せたり、HP Elite x3に「HP USB-Cトラベルハブ」を接続すればディスプレイだけでなくマウスやキーボード、さらになにかデバイスを接続して見せたりするような、新たな提案書の見せ方やデモのやり方ができそうで、発展性を感じます。お客様の前で最先端の端末を使って提案することは、「あしたのチームってこういう新しい情報端末を使って、すごくシャープなプレゼンをするな」と思ってもらえて、会社全体のPR効果もあるのかなと思います。営業にはすごく向いているデバイスという気がしました。

【佐藤氏】まだHP USB-Cトラベルハブは試してなかったのですが、マウスが使えるならWordやPowerPointの編集作業がもっと楽になりますね。それに、営業だけでなく広報としても、メディアに向けて「新しいものを使っている」という発信ができるなと感じています。HP Elite x3を使うこと自体がマーケティングやブランディングの一環になるんじゃないでしょうか。

2008年に創業し、東京都中央区に本社をかまえるあしたのチーム社

「社員のQOLについて」特別対談記事はこちら>>