デジタル化が進み、紙とデジタル、どちらにするか悩んでいる人もいると思います。私はデジタルのメモよりも、紙のメモのほうが優れていると思っています。

なぜなら手書きにすると、労力を避けようと無意識のうちに情報を凝縮しようとするので、自然と精度の高い情報を残すことができるから。またグラフなど、視覚的なイメージもパワーポイントなどでつくろうとすると手間がかかりますが、簡単なグラフや人型に吹き出しをつけるのは、手書きならすぐだし、誰が見てもわかりやすいのです。

どんな仕事にも、たしかな正解はありません。ただ1つ求められるのは、「価値を生むこと」。いいメモはそれを助けてくれる最高の手段なんです。

価値あるメモをつくる
▼簡単! あとで役立つ自己ルール

気になったこと、ふとした会話などを時系列でメモしていく。同じサイズのメモ帳を使うと、メモの習慣化にも。大事なことに○を付ける際は「ひとつのメモに3つまで」「どこかに書いてあることには○を付けない」「“?”と思ったことに○を付ける」などのルールを決めておくとあとで見返したときに大事だったと気づきます。「→」で目的や繋がりをはっきりさせるのも大事。吹き出しは未来の自分への「指示書」として活用します。

価値あるメモをつかう
▼見返して去年の自分の思考を確認

メモで大切な要素のひとつが、あとで見返すことを想定して、「検索」できるようにしておくこと。メモはアイデアの外部記憶のための、いわば外付けハードディスク。そのためには、メモを「書いた内容」ではなく「書いた時期」で整理するのがポイントです。メモ帳は仕事別や目的別に分けずに、一冊に書くことをお薦めしています。そうすれば、自然に「時期ごと」にまとまっていくからです。多くの仕事は周期性を持っています。去年の夏はどんなことを考えていたかなど役立つ局面が出てくるはずです。

価値あるメモを共有する
▼手書きで話し合い、PDFでシェア

会議室のテーブルには常にA4のコピー用紙を用意しています。会議のときはその場で議論しながらメモをつくります。白板を使うと、立っている話し手の言うことを聞くだけになったり、先生と生徒のような関係が生じてしまいがち。テーブルを囲んでメモをつくれば議論も盛り上がり、認識も共有しやすい。つくったメモはそのままスキャンしてPDFに。それを欠席者も共有することができるので便利です。

 
POOL inc. CEO&クリエイティブディレクター 小西 利行(こにし・としゆき)
1968年、京都府生まれ。大阪大学卒業後、博報堂を経て、2006年に独立。CM制作から商品開発やブランド開発、企業コンサルティング、都市開発までを手がける。これまでに手がけた広告は、500本を超える。サントリー「伊右衛門」「ザ・プレミアム・モルツ」、プレイステーション、LEXUS、一風堂ブランディング等に携わる。著書に『すごいメモ。』(かんき出版)など。