使用する証券口座により保険料は8万円アップ!

4月に導入された後期高齢者医療制度。低所得者の保険料アップばかりが注目されているが、株取引をしている人も気をつけないと、保険料だけでなく、医療機関での窓口負担も大幅に増大してしまう。

論より証拠で、東京都在住のAさんの場合をケーススタディしてみよう。後期高齢者の保険料の算定方法は都道府県によって違うが、東京都は所得金額をもとに計算する「所得割」と、誰でも一律にかかる「均等割」の合算だ。ただし、低所得者対策の軽減措置がある。

「保険料&窓口負担」ダブルで増大の落とし穴
図を拡大
「保険料&窓口負担」ダブルで増大の落とし穴

Aさんは76歳(後期高齢者)で、年金収入200万円のほかに、昨年は600万円分の株を売却、100万円の売却益をあげた。このとき、使用した口座が問題となる。証券会社の「特定口座(源泉徴収あり)」で取引した場合、株の売却益を申告する必要がなく、年金所得のみで保険料が算定される。低所得者の軽減措置も適用されて年額5万3300円ですむ。

ところが、「一般口座」や「特定口座(源泉徴収なし)」で取引した場合、確定申告が必要となり、株の売却益が所得に加算される。その結果、Aさんの保険料は年額13万4232円になる。実に8万円以上も高くなるのだ。

後期高齢者が医療機関を受診したときの窓口負担も違ってくる。こちらは全国共通で、「住民税の課税所得額が145万円以上」かつ「収入金額が383万円以上(2人以上の世帯は520万円以上)」の人は現役並みに窓口で3割負担、それ以外は1割負担と大きな差がある。

Aさんが「特定口座(源泉徴収あり)」で取引していたら年金収入だけで判定されるので1割負担ですむ。ところが、「一般口座」や「特定口座(源泉徴収なし)」で取引していたら株取引が加算され、課税所得は147万円、収入金額は年金(控除前)の200万円と株の売却金額(売却益ではない)の600万円を合わせて800万円となり、窓口負担が3割にはね上がってしまうのだ(図参照)。このとき、株式取引が赤字か黒字かにかかわらず、売却額がそのまま収入として計算される点に注意が必要だ。

昔から株取引をしていて、今も「一般口座」のままという人は少なくない。今からでも遅くないので、「特定口座(源泉徴収あり)」に切り替えるといい。

なお、「特定口座(源泉徴収あり)」で株取引をしている人でも、複数の証券会社の口座を持っているため損益通算をしたり、売却損を翌年以降の売却益と相殺する繰越控除を行おうとすれば確定申告が必要になる。確定申告をすると、株取引が所得や収入に加算され、保険料や窓口負担が増大することがある。株取引で源泉徴収された数万円の還付を受けるために、保険料と窓口負担を合わせて数十万円の負担増を招きかねないのだ。かなり大口の株取引をしている人でなければ、損益通算や繰越控除は、その損得を慎重に判断する必要がありそうだ。