残業削減のアイデアは各部署で発案!

とはいえ、部署によって仕事の中身は千差万別。具体的な残業削減の方法は各自で考えてもらうしかない。そこで会社は、残業削減のアイデアを募るコンテストを実施。さまざまなアイデアが寄せられ、各部署で自分の部署に合った残業削減施策を実行した。

立ったまま会議をする。「私は今日は早帰りの日です」という札を席に立てる。会議の資料をつくらずにすむよう、会議室にノートPCを持ち込み、プロジェクターでデータを投影する……などのアイデアを実行した結果、2年後には有休取得率は97.8%、1カ月の平均残業時間も18時間になった。しかも不思議なことに、会社の業績は落ちるどころかむしろ上がったという。

<Achievement>有休取得率97.8%。平均残業時間は月18時間に。そして業績も躍進!

なぜこのようなことが結果に現れたのか。「結局、生産性が上がったのでしょう」と藤岡さんは分析する。

藤岡さんは現在5人の部下を持つ管理職だが、もともと女性の少ない業界であるうえに、SCSKの女性社員の約7割が30代前半までに離職・転職していたため、女性管理職はほとんどいなかった。その理由のひとつに長時間労働があったことは間違いない。藤岡さん自身、この会社に入るにあたり、ある程度の残業は覚悟していたという。

「私は、残業はしないほうがいいと思いますが、若いときはいろいろな経験を積んだほうがいいし、スキルアップのためにも仕事に打ち込む時期は必要だと思います」(藤岡さん)

とはいえ、現在は業界も長時間労働から脱しつつある過渡期。どうしても忙しくて残業せざるをえないとき、藤岡さんは若い世代に、こんなふうに伝えるという。

「やらなきゃいけないときはやる、早く帰れるときは帰る。メリハリをつけて、仕事を効率的に進めよう」

撮影=広川智基