2017年2月、トヨタなどが出資する「未来創生ファンド」などから5億6400万円の出資を受けたロボットベンチャーがある。代表に名を連ねるのは、日本電産の創業者永守重信氏の次男。名経営者のマインドは可愛らしいロボットにどのように受け継がれているのか。
田原総一朗×MJI代表 永守知博

少しずつ成長する「ゼロ歳の女の子」

【田原】永守さんの会社は、「タピア」というロボットをつくってらっしゃる。タピアは何のロボットですか。

【永守】ライフパートナーロボットです。おしゃべりをしたり、カメラで遠く離れた人とビデオ通話をしたり。たとえばご高齢で一人暮らしをしている親御さんのところにタピアを置いておくと、元気に暮らしているかどうかをお子さんが見守れる機能もついています。映像を外からケータイで見ることもできます。

【田原】話ができるんですか。

【永守】はい。ここにタピアがあるので動かしてみましょうか。タピア、自己紹介して。

【タピア】ツルツルのかわいらしいコミュニケーションロボットのタピアです。天気やニュース、知らない言葉を検索して教えたり、留守番をしながらおうちを見守りますよ。それから、皆さんの生活習慣を学習したり、いろいろものがわかるように日々勉強しています。おっと、しゃべりすぎかな。これからも、どうぞよろしくね。

【田原】ほお、話しかけると答えてくれるんですか。タピア、ここはどこですか?

【タピア】……。

【永守】(笑)。すいません、タピアはゼロ歳の天真爛漫な女の子という設定なので、最初は答えられないことが多いのです。でも、人間が成長するように少しずつ頭がよくなっていくので、今週答えられなくても来週には答えるかもしれません。

【田原】価格はおいくらですか。

【永守】BtoC、コンシューマー向けには9万8000円(税別)で販売しています。BtoBに関しては、搭載するアプリケーションしだいで安くも高くもなります。

【田原】一般の人向けと、ビジネス向けがあるわけですね。企業はどんな用途で買うのですか。

【永守】たとえば受付をやったりとか、病院で簡単な問診もできるでしょう。いま実際に使われているのは、ハウステンボスのレストラン。全テーブルにホール係としてタピアが置かれていて、挨拶をしたり、イベント情報を案内します。この春にオープンした「変なホテル 舞浜 東京ベイ」には、各客室にタピアがいます。コンシェルジュとして話しかけてテレビやエアコンをつけるというように、IoTのスイッチングハブとしての機能も備えています。

【田原】ホテルには外国人観光客もきます。会話できるんですか?

【永守】タピアは多言語対応です。いまのところ日本語、英語、中国語。2017年中に韓国語にも対応予定です。