■金子雄介(仮名)
【家族の人数】2人
【家族構成】妻(29歳)
【世帯年収】1800万円
【貯蓄】1500万円


 

「毎月の収入や支出は全然把握していなくて。話しながら、計算させてもらっていいですか?」

のっけからそう語った金子さん夫妻は、夫は金融系、妻は運輸系の企業に勤め、ともに高収入を得ているDINKS夫婦。大学時代に知り合い、結婚して5年目を迎えた。まだ子供がいないこともあり、金銭面ではゆとりがある。そのせいか、ついつい日常の支出には無頓着になっていると、そろって照れ笑いした。

その片鱗は、お互いの「趣味」の分野で大いに発揮されている。毎年大きな出費になるのが、旅行費用だ。共に世界遺産巡りに興味をもち、まとまった休みが取れるたび、そろって新たな地へと足を運んでいる。この数年でも、ペルー、エジプト、メキシコ、イースター島、マルタ島などを訪れた。日本人があまり訪れないような辺境に行くことも多いため、費用はかさむがまったく苦にならないという。実はそのために働いている気がするほどだと、顔を見合わせ頷いた。

夫婦共同を楽しむスタイルは家計管理にも表れている。お互いの収入からそれぞれ月8万円の小遣いをキープし、その使い道には口を出さない。残りは合算して共同口座に入れ、生活にかかる費用は、そこから支払っている。ただ、あればあるだけ使ってしまうことを自覚していた妻は、自発的に強制貯金を始めた。住宅財形や自社株購入などの方法で、使い込んでしまう前に貯蓄分を先に取り分けてしまおうという寸法だ。そうすることで、心置きなく消費できるのだという。

こうしたドンブリ勘定の家計も、来年からは状況が少し変わる。通勤の利便性を考えて、都心の新築マンションをローン購入したのだ。価格は6850万円。不動産価格が底値の今でなければ買えないと判断して踏み切った。今後は管理費込みで月20万円ほどの支出が発生することになるが、妻は働き続ける予定だし、それほど心配はしていない。

「正直言って、将来に具体的なイメージはもっていません。お互いに海外勤務の可能性もあるし、子供もできるかもしれない。けれど、どうなっても対応できるような気がします」と、自信をうかがわせた。