徘徊する親の介護 仕事と両立する具体例

前回記したように、介護における肉体的負担(睡眠不足など)を減らす方法はいくつかあります。それを取り入れることでなんとか仕事と両立させることが大切だといいます。徘徊についても同様です。

「私が担当する利用者さんにも徘徊で困っている方はたくさんいます。竜一さんのように、迷惑を考え、また心配でもあり、離職すべきかどうか相談してきた方もいました。でも、経済的不安がない方を除いて“仕事は辞めないでください”と言ってきました」(Sさん)

徘徊にはいろいろなタイプがあり、それぞれ対策がある。

一般的なのはデイサービスの利用。デイサービスで人と接してほどよく疲れることで、夜眠ってもらうのです。また、かかりつけ医がいる場合は睡眠薬を処方してもらい、睡眠をコントロールする方法もある、とSさんは言います。

親の靴を「位置確認できるGPS付き」にする

他にも、徘徊対策はある。

「徘徊は織り込み済みで、親が履いて行く靴を位置が確認できるGPS付きのものにする。地区の民生委員や近所の人に“徘徊の傾向があるから”と事前に伝えておく。そんな対策をとる家族もいます。また、他人の家に上がり込んだり、大声を上げたりといった本当に迷惑をかけてしまうようなタイプは、精神科の病院への入院という選択肢もある。こうした対策をしたうえで、みなさん仕事を続けておられます」(Sさん)

つまり、「世間に迷惑をかけるから」と思い詰め、仕事をやめることはないということです。